走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

シンポ感想 NPの役割拡大の一つのアイデアから

2021年03月21日 | 仕事
パネルディスカッション中の坂木さんと本田さんの会話について。コロナ感染者をいつ病院へ送るかどうかでNPが活用できるのではないか?の部分。

これを聞いた時、日本を表しているな、と思いました。NPが長期療養型施設へ行ってアセスメントすることは大変良いアイデアだと思います。しかし介護士に観察項目やアセスメントを教える事は良策だとは思えません。と言うかカナダではやってはいけない事だから。私の感覚はとんでもないこと。日本の方はこれで良いと思うのが違いだと感じました。

カナダではそれぞれの職種にコンピテンシーとかスタンダードがあり、それ以上の事を課すのは禁じられています。

例えば、ナースプラクティショナー(NP)ではない看護師が処方をするのは違法です。
介護士は観察や判断(病院へ送るかどうか)などをする事は許されていません。よって介護士を教育し判断できるようにアルゴリズムを作りなどはあり得ないのです(患者や家族が利用するコロナ感染に関するものはあります)。だから在宅でも医師はオンコール制度を行い、介護士や准看護師からのコールに24時間答えれるようにしています。州では24時間電話ラインもあります。州民であれば誰でも利用できます。正看護師は24時間、薬剤師と栄養士は1日8時間で対応します。在宅緩和ケアの訪問看護は1日12時間で稼働していて、夜の8時から朝の8時まではBC州のCNSがオンコールを行います。緩和ケア医師のオンコール制度もあり、訪問看護師、CNSで対応できない時は緩和ケア医が呼び出されます。メンタルヘス系のコールシステムもあります。

そしてACP(アドバンスケアプラン)も積極的に行われていて、不必要な病院搬送を避けるようにしています。これについては以前シリーズで書きました。

医師やNPや看護師が准看護師や介護士に判断をさせる業務を課していけないのです。何故ならこの2種職は判断をする教育を受けていないから(介護士は日常生活の世話の仕方。准看護師はバイタルや血糖値は測定できても、その意味を解釈するところまで教育内容に入っていないから)。個人的に教育して判断ミスがあった場合、その業務を課したものに責任が課せられるようになるのです。

多種職医療職が増えてきている現代社会。それぞれの役割を言語化する事は患者を守る事に繋がります(そのためのコンピテンシーです)。日本の課題だとおもいました。

え?在宅分野でのオンコール制度にNPが出てこないのは何故?と思われているでしょう。これは非常に大きな問題で前回書いたものはこちら。そろそろ2年が経とうとしている。只今急性期病院で働くNPたちで試験中(オンコール費用の捻出と成果検証中)これがうまくいけば在宅領域でも広がる可能性があると言うことです。


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