走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

オンコール制度

2019年06月24日 | 仕事
患者を訪ねて病院へ行く。家庭医の中には入院中のケアも継続する人もいる。 私のようにコミュニティーで働くナースプラクティショナー(NP) は自分の患者が入院してもケアを継続せず、ホスピタリストと呼ばれる病院と契約がある医師にケアを委ねる。なぜかと言うとオンコールシステムがないから。

家庭医はグループを作りオンコールを持ち回る。病院は24時間。いつ看護師から指示を仰ぐ電話が入るかわからない。夜間、週末、自分の時間と健康を守るためには家庭医のようにオンコールグループがあるのが1番。NPの場合グループの形成も簡単にできる。難渋しているのは給与の面。

家庭医は診察1人1回になんぼと支払われる。私たちNPは給与制。正看護師ならオンコールの待機料と呼ばれた時間数の時給システムが労働組合によって制度化されている。しかしNPは労働組合に加入していないのでそのシステムは当てはまらない。どこからオンコール分の給与が出るのか、ここで立ち止まって早15年。なかなか前に進みません。これさえクリアすればいつでも病院での継続的なケアができるNP。

私の患者はホスピタリストのケアの不満を述べ、なぜ私が病院でも面倒を見てくれないのだと迫る。やっぱり医師ではなくてNPだからそれが出来ないのか?と。一般の人にはわかってもらいずらい。痛いところだ。

最近は家庭医でも病院でのケアは継続しないとホスピタリストに任せる人も多い。病院へ行かなければならないし(交通費に駐車代に交通にかかる時間)、病院のシステムも学ばなければならない。

NPになって、ケアの継続性の重要性をひしひしと思う。入院中に無駄な画像診断が行われたり(コミュニティーで既にしたものを繰り返す)、真意のわからない内服変更、専門医への紹介など、そして1番は患者自身がその狭間で困惑している事。入退院前後での情報交換がプライマリー ケア プロバイダーとホスピタリストでできたらどんなにスムーズに行くだろうか?と思う。今はファックスで情報や要約をまとめて送るけど、それが読まれているのかどうかもあやふや。ホスピタリストも5日ごとの交代制なので1人と話しても引き継がれない時も。

そう、作業は簡単では無い。そう思うと自分でコミュニティーも病院もする方がよっぽど簡単だと思う。でも制度がね、、、それまでは我慢してくださいませ、、、、、


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