走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

前向きの一歩

2022年11月25日 | 仕事
昨夜は地元の医師会のミーティングがありました。地元に新しい医療システムが導入されるので医師会の意見をまとめて政府に提出するためです。夏にも行われたのですが、ちょうど日本に帰っていたので出席できませんでした。よってコロナが始まる前が最後でまさに3年ぶり。

この新しいシステムはプリマリーケアネットワーク(PCN)と言うもので、他の都市では随分前から試験的に始まりました。コロナの前に我が街にも政府からオファーがあり、公聴会が医療者向けに行われました。これがコロナ前です。会場はブーイングで医師会メンバーが強く拒否のメッセージが出して会はそのままで終わり、コロナへ突入。予算は他所に回され、早三年なのです。

PCNは多種職クリニックの構想です。多種職で働くことにより患者をより健康へする。しかし多種職でする、ということは人件費もかかりますから巨大な運営費がかかるのです。それを聞いて、政府にそんな高額な運営費を払う余裕が有れば医師にもっと金をくれ。もっと良いケアをして医師が患者を健康にしてみせる!と言い放った医師がいました。

多種職医療を全く理解していない、、、、と目が点になったことは忘れません。しかしそれに賛同したのは多くのメンバー。なんてこったい!!!と頭を横に振り深いため息をしたことを覚えています。

で、昨日その医師が立ち上がり、3年前はあんなことを言ったが、あれは多種職医療を理解していなかったから出た言葉。今はその価値がわかる。地元民を健康にするためにはこの案は大事だ!としょっぱなに言った。

ほー、3年で成長した、ってことか?!

「医師が患者を健康にする」そんな時代はとっくに終わったんですよ。現代医療が発達して、余命が長くなり、社会も複雑化して、病気そのものだけが健康を左右する因子ではなくなったのです。社会環境、生活環境、経済環境が健康を左右する時代になり、病気を治すだけでは国民の健康度は上がらない。患者の他の因子を考慮した治療計画を多種職で取り組む事が重要なのです。

とても前向きの意見が多く出た夜でした。

冒頭写真: 倉吉の水は綺麗。鯉も嬉しそう。


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