走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

ブロック

2020年09月08日 | 仕事
コロナ以前は仕事用のスマホ(職場で支給される)は非表示にしていました。患者からコールバックができないようにする為です。「患者に電話番号が知れると24時間電話がかかってくる」はプライマリーケアをするものにとっての暗黙の了解。

しかしナースプラクティショナー(NP)の中には表示をしている同僚もいて、大丈夫よ。説明さえすれば勤務時間外以外には電話しなくなるから、と言う人もいました。

で、コロナとなり電話診療が増えました(私の患者層はインターネットを持っていない人が多いのでビデオ診療は少なく殆どが電話診療)。ヘッドセットがあるスマホから電話することが多く、非表示だと一発目で電話をとってくれる人が少なく時間の無駄となるので表示に切り替えました。

で、案の定夜中になると電話をかける患者が一名出てしまいました。決まって真夜中から明け方まで2〜6回ぐらい電話を入れます。メッセージも残します。自分のスマホは就寝モードにしますが仕事用は仕事が済むとほったらかし。眠りの浅い夜は家のどこかで鳴っている音が聞こえます。私が起きるのなら良いですが夫も目覚めるようになりました。

病気は辛いものです。心細くなります。誰かにその気持ちを伝えたいのもわかります。しかしプライマリーである私は真夜中の診療体制は取っていません。それにこの患者さんは長期療養型施設にお住まいです。つまり看護24時間体制の施設です。勤務している看護師がいるのに気軽に私に電話を入れるのです。ああああああああああ。

何度も患者に説明しました。施設の看護師とも話しました。彼の抗精神薬と睡眠薬はマックス量です。夕方6時に就寝してしまう彼の習慣は四半世紀続いています。精神科へ紹介状も書きました。それまで薬の増量はしないと決めました。受診までには数週間かかります。感染症も調べましたが陰性です。

あまりに続くので電話番号をブロックしました。これしか手段は残されていませんでした。私も人間ですから日中健康な頭で勤務する為には必要な事です。不安症状の悪化に対しての計画をきっちり立てているのでカレッジもクリアできるでしょう(訴訟に備えては常に頭をかすめる。自分の計画は訴訟されても強く弁護できるものかどうか)。

元を辿ればクリニックの電話のヘッドセットを注文すれば良いだけなのにね。はああああ、

冒頭写真:こっちのヒトデは絵本に出てきそう!


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