走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

患者に寄り添う その4

2019年03月20日 | 仕事
昨日の続き

患者と接する時間が短いと看護技術以外の看護ケアはできにくいのか?

私は患者に接する時間と看護ケアの有効性は比例しないと思います。昨日書いたように看護観は千差万別。同じ看護技術(業務)を提供していても、患者に信頼される看護師は何故か全員ではない。そしてその最も患者に信頼される看護師が必ずしも患者と接する時間が1番長いとは限らない。そう思いませんか?

そもそも看護ケアの有効性ってなんでしょうか?このシリーズ1で私が所属する団体が看護師に課すプロのスタンダードをあげました。

1. Professional responsibility and accountability
2. Knowledge-based practice
3. Client focused provision of services
4. Ethical Practice
これらは一般人が看護師に期待するものでもあるのです。

で、看護師にのみならず医療従事者にとって最も大切なのは何でしょうか?国民の健康の向上ですよね。それを支えるものを医療ケア(医学だけでなく全ての医療に関わる専門職をまとめた意味)と呼ぶのですよね。入院施設であれば患者が1番期待もしくは興味を抱くのは疾病からの回復ですよ。だから看護師も先に挙げた1〜4を行う最大の目的は回復と健康。そして患者も看護師に期待するのは1〜4を通して回復への適切な看護が行われること。

患者の声を聞くのも、反応を観察するのも回復へのケアに活かすため。それらの情報を日々の看護計画や看護師同士のカンファレンスなり、多種職で行うカンファレンスへ活かしてこそ回復が早まり患者の満足感へ繋がるんですよ。(患者の愚痴を聞くのは看護かどうかは以前書いているのでそちらを読んでくださいませ)

時間をかけて患者のそばにいても、手を握っていても、何も得ることが出来ない看護師はいるはずです。逆にそばにいる、手を握るだけなら看護師でなくても出来ること。看護師はそれだけでないプラスアルファがある職業。しっかりとした看護観を持っている看護師は回復へのプロセスを医学知識のみならず、歴代の看護理論の学識者が書いてきた様々な看護のレンズを通して得ることができる(これは看護観ではなくしっかりとした看護理論と呼ぶべき) 。これは看護師としての完成度とでも言いましょうか?それが優れている看護師は時間をかけなくても疾病からの回復や健康を向上させる医療ケアに必要な情報を得ることができると私は思っています(ケアとキュアについては以前書いているのでこちらを)

続く

このシリーズまだまだ続きますよー



スキー旅行4日目。本日も晴天。雪焼けもしてしまいました。

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