走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

自律した職業

2021年05月15日 | 仕事
数週間前の話。新人のオリエンテーション(フェローシップ)。前にも書いたように、あちこちを回るので、本人からスケジュールの確認。クリニックの場所や時間帯、準備する事がないかどうか?など数週間前から数日前に連絡が来る。

で、前日になっても連絡がないからキャンセルか、、、と思っていた。それならそれで連絡が入ってくるもの。いくらゆるいカナダといえどもこれはちょっと失礼ですね、なんて思っていた。私は勤務時間帯が過ぎれば仕事用のスマホは絶対触らない主義。で、翌朝メッセージが入っていた。昨日メールも送ったと書いてある。時間を見てびっくり21:50!

これは只事ではない、と思い事情を聞いてみる。

なんでも3人目のフルタイムのプラクティショナーとして雇われた彼女。しかし勤務1日目に1人は長期病気休暇中、もう1人は辞めてしまった。よって1日目から一人で二人分のフルタイムの患者のケアそれから受け入れを待っている人がこれだけいるから、それもよろしくと言われたらしい。


えええええええ!貴方新卒よね。それは異常事態!無理無理出来ないでしょう。患者は沢山いてクリニックのスケジュールは3週間先までぎっしり詰まっている。毎日超過勤務。土日も返上してカルテの記入に追われていると。そんな事を4ヶ月続けている。よってこのオリエンテーションも半分ぐらいしか消化していないそうだ。

よく辞めずに続けてきたもんだ、と感心すると同時に一言。

雇用主にとって貴方の代わりは見つかるけど、貴方にとって貴方の代わりはいないのよ。セルフケアは自分でしなきゃ。新患の受け入れは今すぐ中止。超過勤務から何%オーバーしているか計算して、仕事量をその分削りなさい、と話す。

でも、そんな事したら患者さんが、、、、と彼女。

確かにそう。しかし2人分プラスの患者を一人に押し付けている雇用主の誤りを貴方が被る必要はない。患者からの苦情は雇用主へ行くようにして、とにかく自分の健康を最優先させる事。それにねもう貴方は看護師ではないのよ。看護師時代のように上の人が何かしてくれる、って思っても何も起こらないわよ。貴方は自律している職員とみなされているのだから、自分で状況分析、計画、実行をすると思われているのよ。自分から始めなければ、貴方はタスクをこなしていると思われるのよ!

続く


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