走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

自由の権利 その1

2015年09月23日 | 仕事
以前にも書いたが、カナダにはメンタル ヘルス アクトと言う法律があり、精神病を持っていても基本的人権=自由の権利が守られている。

自己や他を害す言動がない限り、精神病の悪化で幻覚幻聴があろうとパラノイアであろうとも強制的に入院させることはできない。そういう病状でも治療の選択の自由があるという事だ。

家族や友人などがどんなに切望しても警察に頼もうが救急隊員だって患者を強制的に連れて行く事はできない。周りのものにとっては自主的に治療を受けたいという気持ちになるようサポートしていく事だけだ。非常に辛く歯がゆい思いをする事だ。

71歳のパディの強制退去命令が裁判所から出たのは8月中旬。強制退去は彼女の異常行動。バルコニーでスペイン語(彼女の母国語)でわけもなく叫ぶ、アパートの部屋を水浸しにさせた事一度、放火したこと一度。その度彼女の理由は意味不明なものだった。狼が吠えていたからとか、部屋にいた誰か他の人がしたとか(家族も友達もいないパディ)そして家賃の滞納。

強制退去命令が出ている場合、オーナーは実力行使で賃貸者を追い出す事ができる。しかし追い出した後、ホームレスになる事は必然でそれを避けようとオーナーは試行錯誤の一ヶ月だった。金曜日にホームレスアウトリーチ ワーカーのデニーが足を運んだが、バリケードを作り、全く協力的でなかった。

で、月曜日私が呼ばれたのである。続きは次回、、、。


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