
2月16日に行われたJANAのシンポジウムの感想シリーズです。
その1 たかが言葉されど言葉
今回のシンポジウムのまとめの言葉のように「APNの周知が足りないから、もっと周知に努めましょう」と出てきました。しかし問題と解決案はもっと複雑だと思います。その複雑性を分析せず、周知することにゴールをおくことに私は危惧を抱きます。それについて意見を2つ、2と13について今日は書きます。
- 患者が医師しか目に入らない理由は、専門職のアピールが不足しているのではなくて、医療ケアの比重が医師に偏在しているからだと思います。多種職チームのアプローチをいくら謳っても、それぞれの専門職がスタンダードもレギュレーションも明確でなく、タスクシェアできない制御が法的にあると、できることが限られてしまいます。海外ではレギュレーションもスタンダードもパブリックに対してオープンであることころも違いを生んでいると思います。また、患者が最も興味を持っていることは健康になることで、どの職が何をしているのかはその次です。説明するより実践で「説明がわかりやすかった、意見が言いやすかった」「え?看護師さんだったの?」と患者さんから言われるような看護師を育成していく教育体制作りも重要だと思います。
- 周知が国民に行かないのはアピールが足りないのではなくて、ユーザーのパスウエイを多様化、カスタム化、そして退院だけではなく、医療のナビゲーターの設置などの必要性があるのではないのでしょうか?人間みな自分の知識と経験で判断をするもので、サクセスストーリーを身近に感じない限りアピールをしても理解できないものです。
ブログでも過去に書いてきましたが、医療の発展に伴い医師しかできなかった行為(絶対的医行為と相対的医行為)を他の医療職へ分散してきた歴史が北米にはあります。
日本も医療先進国の一つと言われるのですが、この点は進んでいません。そのような法規制がある中で、医師以外の医療職の存在をいくら言っても患者にとっては全く関係のないことです。
私がカナダで働く時、いくら自己紹介をNPですと言っても患者から「ありがとうドクター」と言われてしまいます。免許を管理する団体から自分の呼称についての指導があるので、訂正をすると、
「自分が健康でいられるのは美加のおかげ。診断も治療をしてくれるのも美加。僕にとっては美加は医師と同じ。僕が美加をどう呼ぼうとも僕の勝手でしょ」
と言われてしまいます。患者にとって重要なのは医師の肩書きでも、誰が何をしてくれているかでもなくて、健康になれるかどうかなのです。
続く
冒頭写真: 8時間近い運転ののちに、やってきたのはBC州のレッドマウンテンリゾート。今回で3回目の訪問です。今年はBC州の降雪量が多く、最高のコンディション。