昨日の続き 看護師の業務拡大について
日本は諸外国と違い、看護師のスタンダードがない国なんだから、診療の補助行為が何であるじか線引きがしっかりしているとは思えない。しかし、医行為はちと違う。
医行為は絶対的医行為と相対的医行為に分かれる。前者は医師しか行う事が出来ない行為で後者は他の医療職、例えば看護職や呼吸療法士などが行える行為。現在の日本では医師が自らの管理、指導の下に相対的医行為を他の医療者へ委譲する事ができる。
これが特定行為云々が議論される前から、看護師を含む医療職が相対的医行為を行ってきた背景だ。
北米や欧州、豪州の看護師業務は相対的医行為がとても多くなっています。その背景には医学の進歩によるタスクシフティングです。以前書いた記事はこちら。(タスクシフティングについては沢山書いているので検索にタスクを入力して全て読んでください)
既に看護師が多くの相対的医行為をしている海外で海外のNPは何をしているんでしょうか?
私が働くカナダBC州では絶対的医行為をします。これがNPと他の看護師を分ける大きな分かれ目になります。NPは診断と治療と言う絶対的医行為を行います。そのための臨床推論で、薬理学で処方権も持っています。独立して患者を診療する事が出来ます。
特定行為研修は海外のナースプラクティショナー(NP)を日本に取り入れたくて会議に会議を重ねた結果、反対派に押されてNPではなく特定行為を、、、との運びになった。特定行為研修では臨床推論を学ぶと聞きましたが、限られた行為に対するもので、NPのそれとは違うものだと推測します。それから、日本の法律上、特定行為は相対的医行為に位置付けられているし、歴史上、特定行為以外の相対的医行為も安全に行ってきた看護師は多いと思います。で、昨日のブログに戻って、看護業務の拡大とは何を指しているのでしょうか?相対的医行為?それとも絶対的医行為?質問事項を読んで推測するに、相対的医行為が20項目のうち18を占めていました。よってこれは相対的医行為の拡大に対する意識調査をするのが目的だったのだと思います。しかし特定行為云々の前から認められていた事を今更調査する目的は???となります。よってやりたかったのは海外のNPのような絶対的医行為についての意識調査をしたかったのではないか?とも推測されます。しかし調査する側も何が絶対医行為か相対的医行為か不明確だった?と想像したくなります。残念な調査ですね。
しかし忘れてはいけない事があります。相対的医行為は明確なリストがあるわけではなく、「医師が自らの管理、指導の下で、、、」と書かれているわけですから、解釈はそれぞれということ。責任の所在は医師なのか施行した医療職なのか?安全策は?となるわけです。医師の働き方改革でタスクシフティングが焦点になっていますが、海外ではタスクシフティングは相対的医行為が医療の発達と共に徐々にシフトして、同時に絶対的医行為もNPとPAに移行した背景があります。日本が今看護師の業務拡大とかタスクシフトと議論するとき、何を何のために議論しているのか明確のする必要があると思います。そして患者の安全性は外せない焦点です。そのギャップをどう埋めるか?海外に学んで欲しいと思います。