走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

差別教育と公平

2021年08月02日 | 仕事

Twitterでは既にあげたのですが、Twitterをしていない人のために。


こちらを読んで、差別の根本的な問題について明確に書かれているので、みなさんにも是非読んで頂きたい、と思います。


日本は世界でも珍しい単一民族国家で、宗教による対立も近代社会においてはない、とても珍しい国です。だからなのか差別についてとても疎い国だと私は思っています。私は日本の大学で法学を学んだので、もちろん人権論は必須でした。人権論、別名同和問題論と呼ばれます。しかし、そこでの学びはこの方が書かれているような真髄まで届いていなかったように思えます。


日本と違いカナダは移民を積極的に受け入れ、移民で構成された国。人種も宗教も言語も文化も違う人が集まる国の中で差別はとても身近に感じるものです。特に私のように日本と言う差別に疎い国から来て、マイノリティーとなり、英語を母国語としている人の何倍も努力しなければならない職業や日常に身を置くと「特権」理論がスーッと入ってきます。


私は自分から好んで異国での暮らしを選びました。しかし生まれた時からの肌の色、性的嗜好もしくは日本ではと言う烙印で差別される。どんな事に関しても人一倍努力、そして自分を合わせていかなければならない(もしくは自分を押し殺すことが強制される)暮らしが、どんな影響を人間に与えられているか?空気にような存在である生まれ持った特権をマジョリティーは考えたこともないのは的を得ています。


先日読み終えたこちらの本の中に織り込んで書かれている差別論も、この特権について書かれていると思いました。


私がカナダでAPNとなり、その教育で学んだことは医療システムにある不公平さを是正して国民全員(システムはマジョリティーの人に作られている物なのでマジョリティーは健康になってもその陰でマイノリティーは恩恵を得ない。しかしマイノリティーだからその存在を無視されている。よってマイノリティーにフォーカスしないシステムは国民全員が対象者ではないのだ)を健康へ導くこと。これについて語ってもポカーンとする人が多いのは、公平について考える必要がないと考える医療者の多さを表しているように思っていた。


だから日本人の中でも特にAPNの方、APNを目指す方に読んでもらいたい。そして自分の身近な環境での例に当てはめて欲しい。島国だから、宗教戦争もない国だから、外国人には厳しい規制を引いて移民できないようにしているし、日本は他国のような問題がないから、なんて言わないでくださいよ。同和問題は未だに続く問題だし、いじめ問題は改善の方向ではないし、所得格差は開く一方で、過疎化問題も解決の方向は見えず、男女格差も何がどう改善したのか全くわからない、宗教的な理由もないくせに同性結婚が認めない不思議な国。国際法を無視している違法外国人抑留問題に、あげればキリがないほど、そしてどれも日本が特権国家である事を顕著に示しているわけですから、その陰で健康を害している人はいる事を忘れないでください。


そのためにも是非、読んでくださいね。読むだけじゃだめですよ。自分の頭を使って例を言えるぐらいまで理解してくださいね。



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