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走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

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2016年10月11日 | 仕事
どうもこの時期は風邪に悩ませられる。昨年もそうだった。それでも感謝祭のディナーは親戚で集まる大切なもの。義姉の家に集合でした。盛り上がって帰宅は深夜を過ぎていました。



さてさて、閉塞性肺疾患のある彼女が息苦しいと来る。吸入のエアロゾルは?2週間前になくなった、と。

え?処方は十分出してあるよ。

お金がないから薬が出せないから我慢していると。

ああああ、医療費無料と言っても在宅の薬代は入っていない。収入により薬の自己負担金が決められていて上限に達すれば政府が薬代を出してくれる。BC州で生活保護を受けている人は収入が低いので全く自費を出す必要はない。彼女も生活保護を得ている。他の州で働いていた彼女は国から生活保護を受けている。そしてその金額は高いので薬代の自己負担金が高いのだ。と言っても彼女の自己負担金は年間$200ほど。

前回の処方で3週類の薬を処方したが、そのうち手に入れたのは2種類のみ。シェルターに住み生活費0。支給金は全てコーヒー、タバコそして大麻に消えていくのだ。$1200ちょいもあるのに。

支給金が支払われたのは2週間前。次は2週間先。いくら現金を持っているの?少しだけ、と。

んんん〜、風邪をもらった彼女の状態はかなり悪い。抗生物質とステロイドの内服が必要だ。状況を説明し、内服を自費で出してでも飲まなければならない理由を伝え、薬剤会社からのフリーのサンプルの吸入薬を手渡す。これ以上息苦しくなるなら救急室での治療が必要になります、と説明した。

困ったものです。自分の健康にとって何が必要なのか優先順位が全くつけれないんだから。

それに救急室で治療が始まれば吸入の何倍ものお金が必要になるのだから(本人は払わないくていいので気にしない人がほとんど) 医療費削減という視点では失敗となるのです。

ああ、本当に難しい人達。


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