走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

金は天下の回りもの

2020年07月10日 | 仕事
クラスター感染を起こした医療機関が責められたり、医療者の給与カットが起こったり、公的機関がクラウドファンディングで陰圧室を作ろうとしたり、コロナとは関係ない医療施設までが経営難を公表したり、あららら、これからどうなるんでしょうか?日本????

コロナのお陰でカナダ政府は火の車。しかしこれはカナダだけではなく世界中どこでも起こっている事。大切なのはお金が循環して経済が回復すること(超シンプルに言えば)。

で、コロナでロックダウンが始まった時、私が働くカナダBC州では直接診療をオンライン診療に切り替える指示が出ました。以前から電話診療と言う診療報酬手当がありましたが直接診療に比べれば半額以下。半額以下の報酬でコロナ以前と同じ事をしないといけない医師たちは不安の声を上げました。直ぐに電話診療の報酬手当が改善されて、その費用はロックダウンの日に遡り支払われました。診療報酬は年齢や慢性期疾患の組み合わせで異なっていました。それが一律のオンライン診療に変わったので、その点も次第に改善され、オンライン診療も直接診療のように内容分けができるようになりました。これで医師や専門医は首を繋いだわけです。

必要なところにお金を出す、とコロナ前線で働いている医療者への特別報酬もあり、医療者全員への給与アップもありました。大変な時だからこそ医療者への労りを国や州はお金で表してくれました。保健機構のタウンホール会議でも時々出ていました。どれぐらいコロナのおかげで赤字が悪化したのか?正式な報告はまだありませんが、州も国も緊急事態に稼働できる予算の権限もあるし、日本のような事は見聞きしません。以前にも書きましたが今投資する事で未来の出費を抑えられる。だからPPEや機器にも人にもお金をかける。その姿勢があると思います。

複数の市に跨ぐ保健機構ですが、それぞれの病院に基金団体があり、コロナ以前より基金団体が基金収集、そしてボランティアを運営しています。保健機構には属さない団体ながらとても世話になっている、と言うか病院にとっては大きな支えでもあります。OO基金からの贈呈と医療機械や施設に刻印が入っているのを見かけるはず。コロナ中でも家族と会話ができるように病棟ごとにタブレットタイプの端末機をいち早く送るなど即座な対応がありました。

私は大きな組織が嫌いで(しがらみが多い)、どちらかと言えば自分の組織でさえ批判的でしたがコロナの対応を体験して良いところが沢山見えて、今の保健機構、そして州で働いていて良かったと思っています。

ここぞ!と言う時に素晴らしいリーダーがいる。大きな違いだと思います。そう思えなかった日本の医療者のニュースを聞くと心が痛みます。そして将来が心配になります。


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