走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

外来診療について

2020年04月14日 | 仕事

WHOの報告書によると日本の新型肺炎の1日あたりの感染者数は確実に増加しています。報告書にはクラスター感染と書かれています。クラスターが地域感染に移行しないように願っています。

BC州で全ての外来診療が電話かビデオ診療に切り替わった頃の事を書きます。

その切り替えが行われたのは州民に対して不要不急の外出を制限した日と同時でした。人が交わる機会を徹底的に減少させる為には病院や診療所などの待合室で起こる人と人との感染を止めなければならないからです。そして診察室内で医療者が患者から、もしくはその反対方向から感染してクラスター感染を広める事の抑止でもあります。

ナースプラクティショナー(NP)は時間制の給与なので関係ありませんが家庭医や専門医は診察の数に対して報酬が支払われるので大ごとです。特に電話診療と普通の診療では値段が変わります。そして医行為としての視点からは直接患者を診ずに診断治療するのはベストではありません。医療倫理にも抵触する事です。なので発表の前に政府は診療報酬を一時的に変更させカレッジ(免許を管理する団体。つまり医行為のスタンダードなどを管理する団体)に掛け合い、カレッジからもこの緊急事態に対応する為に電話とビデオ診療を推奨する声明文を発表しました。

医療アクセスの地域格差の是正の為に遠隔診療のプロジェクトを進めていたカナダ。しかしプライバシーと言う大障壁(インターネット媒体利用のシステムはプライバシーの確保が難しい)完全なシステムは構築されていなかったので、その辺を了承してもらう承諾書を得ることなどをクリアして月曜日から急発進となりました。それと同時に薬事法も一時変更して長期処方を可能にして、兎に角州民が外出回数を減らし他者と接触する機会を減らすように動きました。

では、歯科診療、理学療法、作業療法、言語療法、整体、マッサージなど患者と直接接する医療職は?これにも規制が入りました。予防的治療行為を辞め、緊急治療のみ可能となったのです。緊急治療時にはPPE(防護服やマスク)を完全装備で行わなければなりません。

もし貴方の自治体がここまでしていないのなら、自分で自分を守る為によく考えて行動して欲しいと思います。外来診療を今受けなければいけないのか?延期できないか?電話診療に切り替えられないか?そして熱や咳などの症状があればまずは地域の保健所へ電話相談をする事。外へは出ないように!!!待合室で診察を待つのは厳禁です。この新型肺炎の怖いところは症状が出る前から伝染してしまう事。自分を含めて周りの人全員が感染者だとみなして行動する事が感染拡大を防ぐ唯一の方法なのです。ですから発熱外来が作られていても、新型肺炎に罹患しているがまだ無症状で他の理由で来院している、と想定する事が賢明な判断です。

因みに直接診察が必要な時は、手首まであるガウン、手袋、手術用マスクとアイカバーを着用し、患者は手術用のマスクをつけてもらいます。診察終了後は消毒剤で拭き掃除を行います。もちろん患者は待合室で待つことは出来ず、車かクリニックの外で順番待ちとなります。

週末はイースターの4連休でした。親戚も長女も長男も招待しないたった3人のイースターディナーでした。お姉ちゃんとお兄ちゃん大好きの末娘はお互い症状がないのだから食事ぐらい一緒にしても良いのでは?とせがみました。しかし今症状がないだけで感染していない証明にはならないと説得したつらい週末でした。これぐらい深刻なんですよ。


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