走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

使命と非人間的な扱い

2020年12月16日 | 仕事
いやーこれはタイムリーな経験。

みなさんにとって冗談も通じない緊張する公共の場所ってどこですか?私にとっては入国審査場。空港でも道路でも国境のあの雰囲気は独特。日本はそうでもないのですが、カナダへ入国するときも、特にアメリカの入国審査は緊張する。ガタイの大きい男性から女性の方も厳しい目で入国者を審査しているような。当たり前だ自国に不審者を入れないように門を守っているわけだから。

で、同じような体験を昨日経験したのです。どこだと思いますか?

それはレントゲンのクリニック。娘はバレエをしていてここひと月ろくなレッスンができていません。足の痛みです。理学療法へ通っていますが状態が変わらず疲労骨折を疑いレントゲンです。

馴染みのレントゲンクリニック。コロナのせいですっかり様変わりでした。入室できる人数が限られており、マークに沿って並んで待つ(フィジカルディスタンスを保てるように印が路上に書かれている)。入れば待合室の椅子はほぼなくなっており、マスクとガウン姿の方が背より高いプレキシーグラスの後ろに立っている。その方の前まで続くマーキング。少しでもそのマークから外れると、入国審査員のような雰囲気で注意される。非常に非人間的な扱われよう。

威圧的なその人の態度に早くもうんざり。何故付き添いをしているのか?と彼女は聞く。入口に付き添いお断りと貼り紙があった。娘は15歳。まだ未成年(一応一人で入るよう伝えたが、娘が嫌だと言うので付き添った)だからと言うと、では受付までは許可しますが後は車の中でお待ちください、と厳しい声。

受付でもプレキシーグラスのごしの対応で今までのような人間らしい温もりみたいなものを一切感じない。で、車の中で待機している間、無事にレントゲン撮影を娘は終えた。

さあ、何がタイムリーな経験だったのでしょうか?この2日間コロナの規制について書いてきました。マスクが出来なかった彼女はいったいどんな扱いをここで受けたのだろう?とひしひしと考えさせられた。マスクをつけていた私があそこまでの扱われよう。彼女に対する態度が簡単に想像できる。

そしてクリニックの雰囲気の変化は、まさにコロナに感染するかもしれない職場の恐怖なのか?もしくはそのクリニックをコロナ感染させないための使命感?もしくはその使命つまりある一定の権限を与えられ、それを100%活かしている。わかるかな、、、権力って人間を変えるのですよ。

クリニックの入口で入室者を検問していた方はすっかり検問員となり、クリニックアシスタントではなくなっていた、という事。私が感じた不快さ。これがレストランや小売店のスタッフに入店者を監督させてはいけない理由なのだ、と思った。あんな扱われ方がレストランや小売店で怒れば一触即発そのもの。お店側も守り顧客も守る。店員が店員でいられるように両側が感染についての道徳意識を持つ事が大切なのだ、と改めて経験したのでした。

同じような事が春先に自主的な取り締まり官気分で県外ナンバーの車に忠告状を貼って回った市民にも言えませんか?法的効力を持たない一般人が使命感に燃え、権力的な行動に出る。だからボニー博士はいつもBe Kindというのだと思いました。


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