沢村凛さんの作品です。
冒頭の「地下深くから外の世界へとあがっていく行動が、
海底から海上めざして浮上するのに似ている気がするのだ。」
という文章からもう沢村さんの世界に入っていってしまいました。
感覚的にとてもよく分かる気がするのです。
私の町に地下鉄はないし、そして主人公の彼女のような経験も
全くないのだけど、すっかり彼女と同じ体験をした気に
なってしまいました。
彼女は地下鉄を上がる階段で彼と出会ってしまう。
こんな出会いは物語の中にしかないなという出会いなのだけど、
きっとこんなことも起こりうると思えてしまいます。
イジさんのレビューを読むと「悲しかった…」と。
読み始めた段階では素敵なラブストーリーです。
伏線として尾行されるところを目撃してしまうという不安材料は
あるにはあるのですが。
お相手の彼には何か隠された過去があるとは思いつつも彼との関係
を深めていく彼女。
そして自分自身が尾行されるなんて普通の暮らしでは
あまりないことが起こり始めます。
悲しい彼の過去があばかれて、彼女のとった行動が
「あやまち」なのです。
しかし、私も彼女と同じ選択をしたような気がします。
違う展開を望むのなら自分の胸の中でいくらでも
変えることは出来るでしょう。
最後に、彼女達が出会ったのは偶然の産物ではなく必然だったと。
どんな出会いも出会ってしまったのなら、それは必然なのでしょう。
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