瀧澤美奈子の言の葉・パレット

政を為すに徳を以てす。たとえば北辰の其所に居りて、衆星の之に共(むか)うがごときなり。

健康医療戦略室の医療研究行政、何が問題なのか(論点の整理)

2020年02月11日 | 科学ニュース
いま調整費について書いていますが、少し時間がかかりそうですので先に論点の整理を。

AMEDの司令塔である内閣官房の健康・医療戦略室には、以下の疑義があります(今わかっている限りのもの)。

1. 山中教授のiPS細胞備蓄事業において、「不透明なプロセス」で来年度の予算をゼロにしようとしたこと。
2. 財務省から内閣府に「白紙の小切手」として予算措置される「調整費」80億円が不透明なプロセスで決められ、厚労審議官である大坪氏の省益誘導が強く疑われ、かつ、有効性の乏しいものであること(さすがに自民党部会がストップをかけて、現在執行停止中です)。
3. ファンディング・エージェンシー(予算配分機関)であるAMEDに対して(ああしろ、こうするなと口を出して)マイクロマネジメントを行い、自由度を奪うことによって、AMEDを単なる予算執行機関にしてしまっていること。
4. 次期中長期計画(第2期中長期計画:2020年4月〜2025年3月)が政策的に価値の低いものであること(ちなみに、第1期の反省を踏まえたものでもなければ、はじめから専門家の意見を聞いて練り上げられたものでもありません)。

1と2は誰の目から見ても明らかに「おかしい」ことがすぐにわかる点です。
3と4については、科学研究体制のあり方や、科学の本質に関わるところだと思います。

今回の騒動を、単に「健康医療戦略室 vs AMED」の摩擦と捉えるのではなく、科学研究の特性に根ざした合理的な解がどこにあるのかを考えることが重要です。

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