漫画屋の離れ

本ブログ「漫画屋日記」の離れブログです。構想中の作品メモに利用。

漫画家という職業が「普通の」仕事になりつつある・・・

2006-08-30 19:54:53 | 漫画屋としての一人言
気づくのが遅すぎるくらいだけど、どうやら漫画家という職業が急速に普通のお仕事的なモノに構造が変わりつつある・・・、ということにようやく気がついた。

もちろん、少年誌を中心にメガヒットを飛ばすシンデレラ・ストーリーは健在ではあるが、その少年誌においてもすでに作品作りが変わっている・・・ろくすっぽ読んでいない人間が語れない気もするけど、一応そこにいたこともある人間の体感ということで容赦してもらうと言うことで。

以前、ニュース番組のWBS(ワールド・ビジネス・サテライト。経済情報に主眼をおいたニュース番組)で、ある音楽メーカーをとりあげ、音楽メーカー(CDとか作って売るetc)は普通の仕事になりつつある、かつてのようなどんぶり勘定でメクラ打ちのヒット作で、これまでの赤字を一気回収するようなやり方は出来ないと社長が語っていた。我々も普通の会社にならなくてはならない、と。同様の構造変化が漫画業界でも起こっているのではないだろうか。

最近は景気回復がささやかれているけど、漫画業界も不況の波に若干のタイムラグをもってひっかぶったことと思う。これは、その時に取った各出版社のディフェンスなのだ。マガジンは過半を編集サイド中心の企画モノにし、作家は作画担当というポジションウェイトを高める。サンデーは過半を既存の実績ある作家達で占める・・・。是非は別にして、双方の手段ともに目的は大当たりは望めずとも、大ハズレを無くすというリスクヘッジだ。ジャンプは・・・知らないところだし、まるでわからない。

今は消費意欲も上がっているし、ようよう息をつけているところかもしれない。しかし、経済成長とともに発展してきたような過去のストーリー、市場拡大は二度とは現れない(媒体としては以前以上に色んなジャンルに進出して、むしろ種類は増えている。)。もちろん、散発的なヒットはこれからもあるにしても・・・制作スタイルが変化しているのだから。

作家個人はどうなるのかと言えば、やはり大当たり的な収益機会の減少ではないか。現在のようなフリーランスの作家が各個に編集部・出版社から仕事を得るという形に加えて、アニメのスタジオ、ゲームのソフトメーカーのような給料制で雇われる作家という形が効率性を考えると受け入れられていく、シェアを伸ばすことになるのかもしれない(時限契約のほうが多いか・・・。)。アメリカや香港の制作スタイルが確か、そんな感じだと記憶している。とうぜん見返り(原稿料→給料)は減る。

ハイリスク・ハイリターンの職業から、ミドルリスク・ローリターンくらいに変化するのかもしれない。ようするに魅力に欠けるわけで、新規参入(新人作家)は人口減に上乗せして減っていくように思う。


従来型の制作スタイルは少数派ながらも、一応ポジションをしばらくは維持するだろうから、そこからメガヒットは生まれるかもしれないが縮小分、確率は落ちているだろう。趣向の多様化は以前から言われていることだ。むしろ無法が許容されるアマチェアの世界のほうがずっと面白く、魅力的なモノになっているのかもしれない。

いずれにせよ、こんなことに今ごろ気がついてクナクナと語るくらいだから、自分が売れないワケがわかるような気がするわあ・・・・トホホ。

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