漫画屋の離れ

本ブログ「漫画屋日記」の離れブログです。構想中の作品メモに利用。

長く仕事をしている割に人気の出ない漫画家の「悲劇的な傾向」

2007-02-03 06:54:44 | 漫画屋としての一人言
なんつー身につまされる話題・・・わかっちゃあいるんだけど、こうまでスッキリ語られると目からウロコってヤツデス。

長く仕事してもらってる割に人気の出ない漫画家には、ロリ&劇画を問わず一定の傾向が。当人達は漫画を描くのが好きで仕方ないらしいのだ。だから決して手抜きはしない。しかし、読み手の立場が頭にないので、努力が明後日の方向へ脱線。(多分、一般漫画はともかく、同業者の漫画もまず読んでない)読者がエロ漫画を読む際に一番気にする、キャラの色気、SEXに至るまでの説得力、体位等のリアリティに工夫をせず、登場人物の数をやたらに増やしたり(描き分けられぬのに)、無意味な場所移動を繰り返したり(ストーリーが混乱、濡れ場が減るのみ)、ささいなネームに凝ったり。(誰も読んじゃおらん)

別にエロじゃなくても、いちいち頷ける自分がいるー!素晴らしい洞察です(『出版業界最底辺日記』(塩山芳明[著]・南陀楼綾繁[編]、筑摩書房という本の抜粋らしい。)。うーん、自分なりに考えているんだけどねー・・・なかなか。漫画読まないのなんてドンピシャです(;^_^A(贈呈本は1誌のぞいて、目を通してるんだけど)。


リンクサイトには、他にもいいネタがふってあって、こっちも作家系には読みごろです。
「書いている途中で行き詰まる人」への偉大な脚本家の言葉

仕事しながら2chのスレを音声で読ませていたら、引っかかったURLでした。ママスロベタ・ホワイト終了で3枚だけ原稿up。イラストのほうも残りの下書きを済ませる。

好きなことを職業にするに過ぎたる幸せなし

2007-01-13 03:59:07 | 漫画屋としての一人言
ついついブックオフで何冊か100円ものを買ってしまい、これは買わなかったのだけれど、チラとページをめくって印象的な言葉だったのが件のセンテンス。故・青木雄二の対談本に出てきた言葉。

まさにその通りだと思う。正直、今の状況が維持できれば自分はかなり幸せだ・・・逆にこれ以上を望んではいけないのではないか・・・という思いさえある(逆の気持ちももちろんあるのだけれど)。器が小さいと言えば、それまでだけど、自分のパーソナルだからいかんとも仕方がない。

自分へのメモ

2006-12-10 19:44:37 | 漫画屋としての一人言
・仕事 ・趣味の創作作業 ・作詞 ・貯まっている本とゲーム
・とあるシステムのネットワークを構築すること

やりたいことを忘れないためのメモ

・今、やろうとしていることで想定される、自分への課題。
 自分が「やわらかく」動けるか(とあるシステムのネットワークを構築すること)

気になるゲーム(購入予定)
・雨格子の館
・12RIVEN

自分の宣伝を書くのに1年4ヶ月を要す。

2006-11-19 23:03:28 | 漫画屋としての一人言
ブログのトップに現在の仕事を掲載しました。自分の仕事(漫画)が、どこに描かれ、いつ掲載されるのか。そういう宣伝を書くのに1年4ヶ月を要しました。

自己宣伝を書くということは、「読んでくれ!」と言っているワケで、自分自身の描くものに価値があるから、よかったら見てくれ、いやぜひ見てくれ。という肯定的な気持ちがあると言うことです。いままではそれがなく、たまたま目にしてくれて読んで楽しんでもらえたらラッキーだな、というくらいのスタンスだったのです。


宣伝を書く気にならなくなった出来事(書く価値を感じなくなった出来事)は、僕にとって漫画家としての最期の大勝負と思って取り組んだ仕事(企画)を達成できなかったことに始まります。

自分の作家としての商品価値、賞味期限・・・そう言ったことを考えるにつけ、「これが最期のチャンスだ」と望んだ企画でしたがダメでした。

最期と思った大勝負に負けたのだから、負けた者なりに辞めればいい。

のですが、それも出来ずにグズグズと仕事を続けている自分が非常に面白くなく、潔くなく、気に入りません。

これまでの時期、心配して編集部を紹介すると声をかけてくれる師匠筋の先生や、編集さんの言葉に応える気にはなれませんでした。自分は賞味期限切れだ。漫画家として終わった燃えカス。他の誰でもない、自分自身が作家としての自分に商品価値を見いだせなくなっていたので、心を砕いてくれる人を裏切る結果になると思い、受けるワケには行きませんでした(今も、基本的にそうだけど。)。

自分なんかより、どうせだったら若くて活きのいい人に機会を与えてやってくれ・・・と本気で思ってました(今もか)。

ただ、人間として生きていくためにはメシを食わねばなりませんから、収入を確保しなくてはなりません。燃えカスにいまだ価値があるのか疑問を持ちながら、不思議にやってくる具体的な仕事には、燃えカスなりのこれまでの名誉と誇り?を持って全力であたってきました。

(漫画人生、負けまくってますが、勝負してきた自分には誇りがあります。勝ち負けをうやむやにせず、受止めることは大事なことだと思っています。)

最後のチャンスに破れたのに、仕事を続けていることに対する矛盾が不愉快です。しかたなく、1年くらい前から、「このままズルズルと、なんとか20年漫画家を続けられたら、一応頑張ったってカンジでいいよなあ。」

と、消極的に思い始めて、それが現在の目標です。一応2016年の4月くらいまで漫画家を続ければ、20年達成ですので46才の誕生日まで保てばいいか、と思っています。


なぜ、今こうして自己宣伝を書く気になったのか(無粋な欲はあるから、ブログを通じての間接的な宣伝は続けてきたが)、具体的には自分でもよくわかりませんが、久しぶりに見えなかったモノが見えてきた気がするのです。つまりは、漫画家としての自分の活かし方です。

あってるのか、間違っているのか。わかりませんがこの感覚は久しぶりなのです。終わった自分をくつがえせるか、自分自身に対する勝負です。


と、言っても何か大勝負をしかけようというワケではありません。そんな気力はとてもないし。ただ、自分にとっては明らかな変化なので一応、書き留めておく次第です。

まあ、もう少し頑張ってみますか。

漫画家という職業が「普通の」仕事になりつつある・・・

2006-08-30 19:54:53 | 漫画屋としての一人言
気づくのが遅すぎるくらいだけど、どうやら漫画家という職業が急速に普通のお仕事的なモノに構造が変わりつつある・・・、ということにようやく気がついた。

もちろん、少年誌を中心にメガヒットを飛ばすシンデレラ・ストーリーは健在ではあるが、その少年誌においてもすでに作品作りが変わっている・・・ろくすっぽ読んでいない人間が語れない気もするけど、一応そこにいたこともある人間の体感ということで容赦してもらうと言うことで。

以前、ニュース番組のWBS(ワールド・ビジネス・サテライト。経済情報に主眼をおいたニュース番組)で、ある音楽メーカーをとりあげ、音楽メーカー(CDとか作って売るetc)は普通の仕事になりつつある、かつてのようなどんぶり勘定でメクラ打ちのヒット作で、これまでの赤字を一気回収するようなやり方は出来ないと社長が語っていた。我々も普通の会社にならなくてはならない、と。同様の構造変化が漫画業界でも起こっているのではないだろうか。

最近は景気回復がささやかれているけど、漫画業界も不況の波に若干のタイムラグをもってひっかぶったことと思う。これは、その時に取った各出版社のディフェンスなのだ。マガジンは過半を編集サイド中心の企画モノにし、作家は作画担当というポジションウェイトを高める。サンデーは過半を既存の実績ある作家達で占める・・・。是非は別にして、双方の手段ともに目的は大当たりは望めずとも、大ハズレを無くすというリスクヘッジだ。ジャンプは・・・知らないところだし、まるでわからない。

今は消費意欲も上がっているし、ようよう息をつけているところかもしれない。しかし、経済成長とともに発展してきたような過去のストーリー、市場拡大は二度とは現れない(媒体としては以前以上に色んなジャンルに進出して、むしろ種類は増えている。)。もちろん、散発的なヒットはこれからもあるにしても・・・制作スタイルが変化しているのだから。

作家個人はどうなるのかと言えば、やはり大当たり的な収益機会の減少ではないか。現在のようなフリーランスの作家が各個に編集部・出版社から仕事を得るという形に加えて、アニメのスタジオ、ゲームのソフトメーカーのような給料制で雇われる作家という形が効率性を考えると受け入れられていく、シェアを伸ばすことになるのかもしれない(時限契約のほうが多いか・・・。)。アメリカや香港の制作スタイルが確か、そんな感じだと記憶している。とうぜん見返り(原稿料→給料)は減る。

ハイリスク・ハイリターンの職業から、ミドルリスク・ローリターンくらいに変化するのかもしれない。ようするに魅力に欠けるわけで、新規参入(新人作家)は人口減に上乗せして減っていくように思う。


従来型の制作スタイルは少数派ながらも、一応ポジションをしばらくは維持するだろうから、そこからメガヒットは生まれるかもしれないが縮小分、確率は落ちているだろう。趣向の多様化は以前から言われていることだ。むしろ無法が許容されるアマチェアの世界のほうがずっと面白く、魅力的なモノになっているのかもしれない。

いずれにせよ、こんなことに今ごろ気がついてクナクナと語るくらいだから、自分が売れないワケがわかるような気がするわあ・・・・トホホ。

投資不適格漫画家(自己評価)

2006-07-20 08:02:42 | 漫画屋としての一人言
ナミカヨ原稿上がったので、昨晩ジョナサンで原稿渡し。ムー、この原稿が載る雑誌、今回が最後の様子だったのだけど、なぜかあと二回出ることになったらしい。9,11月にナミカヨを描く”可能性”が出てきた・・・。あくまで可能性だけど。

ちょっと編集さんのボヤきを聞きつつ(死ぬほど忙しそうなのだ。)、「キャシャーン」(スロット台)やりたいとかアホなこと言って別れる。ナミカヨ自体は二人のキャラクターがとても気に入っているので、描かせてもらえるのなら、ぜひとも描きたいけど9月のスケジュール考えると地獄示現だなあ・・・。でも、いつ仕事なくなるかわからないような状況だから、やっとかないとマズイよなあ・・・?

中国株コラムの為のイラストの下書きを1点だけやってみる。やっておかないとマズイと思い、BOX-ingのコンテ第3話を今朝まで一晩かけて仕上げる。8月頭のアシスタントさんがまったく確保できてないので、7月末に緊急依頼で人確保。めちゃめちゃありがたい。ママスロとBOXーingの原稿を並行でやることになると思う。


なんの間違いか、今は向こうから仕事が来たりして(死ぬほどありがたいのだけど)、異常に仕事があったり忙しいけれど、あいかわらず自己評価は私上最低の投資不適格(BB-くらい?)のジャンク漫画家なので、このままでは早晩干上がる気がしてならない。自己評価を修正する何かを成さないと、前向きに営業かける気にもならないがどうすればいいのか、正直よくわからないし。

 真に問題なのは外よりも、内なる自分自身に対する評価こそがシリアスなのだ・・・・。

だから本音は仕事せず半年くらいボーーーッとすごして、よくよく考えたいのだけど、今はせっかく仕事が来るので全力でそれにあたっている。全力でやってれば何か見えるかもしれないし、なんも見えなくても仕事なくなるまでに少しは現金をストックできるからボーーーッ時間を過ごしやすくなる。

そんな感じな日々。うーん、今日も疲れてくると指が動かなくなってくるな・・・。完璧な休養日がとれないのが辛いところだ・・・・。

ふと思った・・・

2006-07-07 03:54:09 | 漫画屋としての一人言
なんかこのカット→確実に自分が描いたものだけど、印象が薄いな・・・ボケ始めたか、そんだけ描いてきたってことかな?

ジョナサンでコンテ。しかし5pまで。せめて10p前後までは進めたかったのだけれど、髪を思い切り短くしたせいで、エアコンで首元が冷える。このまま冷風を浴び続けると、体調をくずしそうだったのでトータルで判断して引き上げることにした。

今日(7/6)の関根さんのハイQにでていたのだけど、人間の平温から1℃下がると、それだけで免疫力が40%も下がってしまうそうです。自分は、よく髪を切った後に首を冷やして風邪を引くことが多いので気をつけねば・・・・。

なんでこんなこと考えたのかわからないけど、突然ふと、

「漫画の仕事無くなったら、アシスタント屋さんやってもいーなー・・・。」

と思いました。今までは、ずっと石にかじりついてでも漫画家であり続けたいと思っていたし、自分のアイデンティティはここにこそあると思っていたのに・・・・。

漫画家の要不要は需給で決まるし、需要の無くなった作家は消えたほうがむしろ業界への貢献だし、人のために自分を活かして働くのも悪くないなーとか、なぜか思えてしまった。今だけかもしれないけど。

なんとか漫画家として20年やれたら立派だよなー、というのが最近の目標というか希望だったのだけれど(今、12年目くらい)、不意に思えたのでした。結構、漫画家としてある程度やってきた満足感もあるし、一人モンなら食っていけるし、自分の器そのものが、結構小さくてすぐ満足するようなところがあるんですよね。

元漫画家のプライドとか、なんかどうでもいいし(今だけかもしんないけど。)、若い人の邪魔にならないように貢献できたらヤリガイあるかも。なんだか自分の過去話ばっかりしちゃって、ウザがられるおっさんアシスタント(想像を働かせただけで、会ったことはない。)は避けたいなー。多少はやっちゃいそうだけど(^^ゞ。

現時点でPC作業がこなせて(自己流だけど)、背景もある程度描けるアシスタントなら結構付加価値高いかも。でも、自分が作家として背景を描かせるんなら、もうちょい画力欲しいかな(背景だけ描くなら、それに注力するから今よりもう少し、クォリティ上がる気もするけど。)。

ほいで、なんか時々思い出したように仕事が来たりして、そんな時はチョロッと描く。だからしばらくはフリーのアシスタントだな。その後、さすがに作家としては忘れられるからボチボチとアシスタント先を定着させていく・・・。体力upは不可欠だけど、今より狭い住まいでいいし、生活コストも減らせる。んー、悪くないかも?

とりあえず、御同輩の漫画家さんのを手伝ってさ。立場とかよくわかるから、聞き役にもなれる。ほいで、かつて自分を手伝ってくれたコが立派に漫画家になってさ。それの手伝いとか出来たらサイコーかも!?でも使うほうとしてはやりにくいかなー?

こんな考え方が芽生えたのは、生まれて初めてだなー。ほほーっと自分でもちょっとビックリ。そうなったらこのブログも「元漫画屋日記」に改題せねば。

今までは漫画家崩れがアシスタントなんて、転落の典型だよなーなんて思っていて、嫌だなと思っていたのに。それだったら、他の仕事さがしたほういいと思っていた。でも、これって多分に他人の目を気にした考え方だよな。そういう尺度って嫌いなのよね。自分が納得、満足してればそれでいい。


まさかとは思うが、中田が引退を発表した影響があるのか?あまりに次元が違いすぎて、思わず笑ってしまうが。


明日には、変わってしまいそうな考え方だけど、せっかく思ったので記録するために書いてみた。やばいなー、寝てしまいそうだ。

4:38...
ハッ!そしたら仕事先用に無線通信環境の整った、ミニノートパソコンが必須だな。今自分は、資料を見るのにネットは不可欠だから(画像検索とか)。仕事先にパソコンあるか分からないし、資料が十分にストックされているとも限らない。色々、思考をめぐらせると楽しい。

自宅にサーバーをこさえて、出先からアクセスできるようにすれば猶のこと、対応力が増すな。へー、考え方を変えてみると、色々思いつくもんだ。

7:00...
コンテとりあえず9Pまで進める。やばい、はやり冷えた感じ・・・。

久々に吠えてしまった・・・

2006-07-06 21:24:05 | 漫画屋としての一人言
ケータイ上で見る漫画の仕事を請け負ってしまった・・・。

この件については、しばらく連絡がなく「もう無くなったのかな・・・?」と思った数日前にメール。すでに話したことを時間が経ってから再度尋ねている・・・、こちらはスケジュール的に早めに取りかからないと引き受けることが難しくなってくるのは伝えてあるのに何も進んでいないのか・・・?こっちはとっくにそのことは確認済みで検討のために時間がかかってるか、不採用だったと思ったのに・・・・。

「俺の言ったことを忘れてんのか?」省略するが他にも少々、不手際というかわかってない面があり(基本的にメールを送ることで仕事をしたことになると思っている節がある。)頭に来たが、とりあえず熱をさます意味で間をおいてから、その後の返信のメールを見るのに1日置いた(即見たら、頭に来てしまいそうだったから。)。

今日、返信メールを開くと、今週中に打ち合わせをしたいという。急だな・・・(1日割り引く必要はあるが)と思いつつ、それに返信をうち、さらにメールが届く。なんの説明もないままに、いきなり本社にて契約をかわす話になっているではないか!

これはメールで話していたら5~10通ちまちまとメールを交わすことになる。そもそも重要な事柄は電話で話すべきだろと思いつつ、それでもクールに、冷静に内容を確認するつもりだった。電話で担当の人間が出るまでは・・・。

私は基本的に穏やかな人間のつもりです。そうそう怒ることはないと思います・・・が、挨拶を交わした途端に私の口から出た言葉は・・・、

「困ります!!」

「いったいどういうことですか!?これだけ間をあけておいて、なんの確認も無しにいきなりやることになっている。決まったら決まったらで連絡を入れるべきでしょう!!そもそも、重要な連絡は電話でするべきです!」

一番最初にメールを受け取ってから、やけに杓子定規なところがあり、会った時も若かったし、新人さんなのかな・・・とは思った(会った時も、いきなり判で押したような会社のプレゼンテーション始めるし・・・。)が、これでは仕事以前の問題だ。

相手は私がなんで怒っているのかも十分に把握できてない節がある。「私は窓口役で漫画の現場のことはよくわからず・・・」と言うが、窓口役をはたしていない。

・・・まあ、でも新人君ならしかたがない(確認していないけど)。わけもわからず部署に回され、指示された事柄をこなすので精一杯なのかもしれない。だからその場しのぎの言訳も成り立つと思っているのだろう(見え見えなんだけど。)。おかげで私の怒りのポイントが蓄積されていき、レッドゾーンを突破してしまったのですが。

そりゃあ、こっちは食うや食わずやのど三流漫画屋さ。代わりなんぞいくらでもいる。しかし仕事には誠心誠意、全力を尽くしてきた人間だ。だが、向こうはどう割り引いても小さな1案件と軽く見ている(というかそれ以前に仕事というものを知らないのかもしれない。)。一つ一つの仕事をしっかりやらなくてはプロ(ビジネスマン)ではないだろう。へこへこ頭下げてまで、仕事もらうつもりはハナからないんじゃ!そもそも5月で仕事が切れてから、しばらく仕事したくなかったしッッ!!

こんなんで壊れる話なら、壊れてしまえばいい。


そんな私事情までは関係ないので言わないが、ひとしきり不満をぶちまけるとようやっと状況が確認できる。折り返し電話を受ける(どちらかというと上司に指示を受けるための時間が欲しかったのではないか。)ことになり、その後スケジュールや作品の造り的にもまったく不可能なものではないことがわかったので、見切りではあるが(ケータイ漫画という未知のメディアに対する興味も手伝って。)請け負うことにしてしまった。メールでクナクナとやりとりするよりもよっぱど速かった。一応、効率性を最大限、活かしているIT企業のはずなんだけどな。

なんにせよ、メールでは細かい部分で情報伝達の不備が生じる。だからこそ、行き違いが生じてこんなことが起きたのだ。メールは便利なツールであり、依存するものではない。

こちらも言葉が過ぎたと謝罪してのち、電話を切った。明日、契約で(こんなところだけ、ちゃんとした企業だ。漫画業界は基本的にコミックス以外の契約なんて交わさない口約束の古い社会なのだけど。)出かける。ナミカヨのコンテは今日明日中に仕上げなくてはならない。

扱うネタはボクシング。実は以前フリーのゲームとして作成したノベルの漫画化だ。マーケットベースに載る、僕の『純粋な』漫画作品はこれが最後かもしれない。


漫画の神様

2006-06-25 21:12:13 | 漫画屋としての一人言
まず、漫画の神様などというモノは存在しない。便宜上、自分の中で勝手に設けただけの話である。

一応、17才の時に漫画家を志してから自分なりに誠実に漫画というモノと向き合ってきた。しかし、最近はそうでもない。今なお、かくあるべしと確信しながら、やや斜めから、ひねくれた態度でいる自分をただすことが出来ずにいる。

最初に「漫画の神様」をおのれの中に設けたのはサンデー時代であろうか。新しい連載企画を提出しながら、待てど暮らせど返答がなく、いたずらに月日を重ねていた時期があった。なんにも出来ず、ただただ時間だけが流れ、貯金だけが無くなっていく・・・(この頃は利殖など知るべくも無い、生活これ漫画100%の頃・・・。)。

時間がもったいないと、別の企画を提出してもまだ時が余る。自分から働きかけて、やれることが何もない!何もないのに、返答はなく精神は追いつめられる。その状況で出来ることと言ったら・・・「祈る」くらいしか思いつかなかったのである。

打ち合わせのあと、『(漫画の)神様、頼むッ!連載させてくれッッ!!』と電車の出入り口の端のポール掴みつつ祈り、玄関で編集さんと電話で話した後(当時は玄関にFax付き電話を設置していた。)、祈っていた。


サンデーを離れ、あちこちで描くようになった頃、「今は目立たずに力を貯め、数年後のチャンスを待って、勝負をかける・・・!」と雌伏の思いでエネルギーを貯めていた。その頃は気づいてなかったが(当たり前のモノだったのだ)この2つの時期に前提としてあるのは、「自分の漫画家としての能力に対する信用および肯定」である。他の誰でもない、本人が自分を信じてこそ気力というモノがわき、自分を支えるのだと思う。

今、その前提が崩れている。2年ほど前、自分の思い描いたようなチャンスが来て、勝負に出た。最後のチャンスと判断しての大勝負だ。しかし、その勝負は表に出ることもなく、信じがたい段階で戦う前に泡と消えた。どんな形であれ、勝ち負けで言えば、どハッキリと『負け』た。

『漫画の神様、お前は何を考えている!?俺をおちょくって、そんなに面白いのか!?』

他の誰でもない、自分自身が「岸みきお」という作家に対する信用を失ってしまった。自分をごまかしつつ、仕事してきたがしだいに自分をごまかしきれなくなってきた。幸い?にも5月の末で仕事が途絶えた。どうなるか知らないけど、およそ積極的に仕事をする気分ではない。信用していない自分を売り込む営業は、相手に失礼だしやめよう・・・・。


今、また自分の中に『漫画の神様』が現れている。どうとでもなれッッ!と思った矢先に、どういうわけか仕事の話がやたらと来ている。かつての自分なら、「これは俺に頑張れと言うことか。」と『漫画の神様』の計らい?を素直に受け取れたのだが、今はそうは行かない。

『フン、また俺をその気にさせて、からかうつもりか・・・。』

と、どうしても、ひねた態度で斜めからモノを見てしまう。神様うんぬんとは別に、そもそも「最後のチャンスと思ったんなら、次なんてあるわけ無いだろう。」という当たり前な考えもある。最後と思ってダメだったのに、ホイホイと次の勝負とか言うのは調子が良すぎるという考えだ。だったら、大勝負と思ったアレは何だったのか。

漫画家は誰でも彼でもなれる職業ではなく、己の能力と意にそぐわず捨てざるを得ない人が大勢いるのは分かるし、知っている。自分が恵まれていることも分かっている。だが、素直にはなれない。この不遜な態度に『漫画の神様』はどのような仕打ちを返すのであろうか・・・わかっていながら、それをすることが出来ないでいる。

ただ請け負った仕事に対しては(現状での)全力を尽くす。それが読者と漫画に対する最低限の誠意だ。それをしなくては己の中にある、『漫画の神様』に文句を言う資格を失う。自分が信用していない作家の描く原稿に対して全力を尽くすという矛盾を抱えつつだが。

失った自分に対する信用は、失った原因でこそ取り返し得る。取り戻したかったら、自分には漫画を描くしかないとわかってはいるのだが・・・・。


いずれにせよ、以前とは漫画に対するつき合いを変えざるを得ない。これまでも変えてきたが・・・、『漫画の神様』と新しいつき合い方を見つけない限り、この職業を継続していくのは難しいであろう。とりあえず今の自分にはその辺が全く見えない。ただ、先の絵図ももたずに目の前のコトと向かい合うくらいしか出来ない・・・。

繰り返しになるけど『漫画の神様』などというものは存在しない。自分の中で便宜上設けているだけのモノである。

21:37...
ひと言で言って、「無様な話」ですな・・・。

自信喪失・・・?

2006-05-08 18:09:58 | 漫画屋としての一人言
こんなことをオープンにさらすなんてバカじゃないのか?なんで書くのか自分でもよく分からないのだけど、知人へのメールで多少テーマに及んだ余勢をかって書き込んでしまう。格好の悪いお話です。

今月請け負うパチスロの読切り仕事で当面の仕事の予定が消失する。仕事があったりなかったりなんて、これまでもいくらでもあったことだけれど実はここ最近は自分から営業をほとんどかけていないというのが、これまでと違う。

なぜ、積極的な営業をかけないのか。モロモロあるけれど、自分に対する自信が揺らいでいることが一番、大きいようです。

最大のきっかけはやはり、昨年の週刊連載企画の突然の頓挫だと思います。全貌を俯瞰できれば必然だったのかもしれないけれど、なにはともあれ僕にとってはあれが「週刊連載への最後のチャンス」と思って足かけ2年、全力で挑戦してきたものでした。結果として挑戦の舞台にあがることもかなわずに、自分にとっては理解しがたい段階で機会を失ってしまいました。

どんな業界でも実力が必要であり、そして運が必要だと思います。自分はあの時、「ああ、俺は運もなければ、実力もないんだなあ。」と思ったものです。それでも、ありがたいことに仕事の依頼があり、挑戦していた余熱があったのか、自分からも仕事をとりに動いていたけれど、無理をしている気がしてどうにも次第に動けなくなって来ました。

なにかイヤなことがあった時、それを愚痴にして消費してしまうことを嫌ってきました(この書込みなんてまさに愚痴だけど。)。そういったストレスをエネルギーに変換してこそ、作品が仕上がってくるのではないか・・・つまり、作家としてそんなことはもったいないと思ってきました。その考えに沿うならば、今回の機会なんてまさにうってつけのストレス=エネルギーではないか・・・・。

しかし、なぜか今回は反転のエネルギーがわかないのですねえ。自分にとってストレスがあまりに大きかったのか、消耗してしまったか。ヤキが回ったか?

「最後のチャンス」と思ったモノを失ったのなら終わりにすべきじゃないか、という論理的な考えも大きく頭をもたげます。まあ、実際は漫画を描く以外のメシの食い方を知らないのでズルズルとしがみついている面もありますけれど。一方で、「本当に自分は漫画に対する熱を失ってしまったのか?どっかに残っているのではないか。」という自分の情熱と才能に対する期待もかすかにあったり裏腹な思いが錯綜しています。どうにも舵を失ってフラフラしているわけです。

こんな状態で、どれほどの作品が描けるというのだろう?プロとして読者に消費していただける作品が描けるはずがないのではないか。そう思うと、積極的に営業に、自分を売り込みに行けないのですね。だから仕事の話が来る時も、ありがたい思いと同時に、「なぜ、俺に仕事が来るのだろう?」と思ってしまう面があります。もちろん、いただいた仕事には全力であたっておりますが・・・。

漫画業界も競争原理があり、その中で浮かぶモノ、沈むモノがあります。そんな業界が好きだし、そこでどうにかこうにか生きてきたことに対する誇りもあります。そして・・・これまで間接的に自分が沈めてきたモノもあることでしょう。これは自分の個人的な思いですが、そういったことに対する責任も負わなければいけない・・・つまり、簡単にやめるわけにはいかない。ボロボロになるまで頑張らなければいけない、という思いもあります。

続けたくても諸般の事情で続けられなかった人、やむにやまれず筆を折った人、自分が踏みにじった形になってしまった同業者がいるはずなんです。


そんな色々な思いがあったりして、自分は最近イマイチなんですねー(^^ゞ。漫画を描いている時は相変わらず楽しいのですけどね。いい年して、なにを青臭いことを・・・という感じですけれど。幸いに多少の貯蓄があるので、考える時間くらいは確保できるのでよくよく考えてみたいものです。