訳・青木千鶴
早川書房
2011年3月 発行
2012年1月 10版発行
451頁
ポケットブック版、2段組み
1週間はかかると思っていましたが、海外ドラマのようでテンポよく、意外に早く3日間ほどで読み終えました
ニューヨーク在住のしがない中年作家、ハリー・ブロックは偽りの名や他人の顔を借りて、数多くの小説を出版してきた
とはいえ売行きはぱっとせず、家庭教師のアルバイトでなんとか食いつなぐ日々を送ってきた
最愛の恋人には捨てられ、教え子の女子高校生クレアにすら頭があがらない
そんなある日、ハリーのもとに一通の手紙が届く
差出人は12年前に4人の女性を惨殺した悪名高き連続殺人鬼、ダリアン・クレイ
いっさいの自供を拒んだまま、死刑執行を3か月後に控えたいま、すべてを語る告白本の執筆を大ファンであるハリーに依頼したいというのだ
ところが真実をあかすことと引きかえに、ダリアンはひとつの条件を出す
はたしてハリーは見事、その条件をクリアすることができるのか
事件の真相にたどりつくことができるのか
ポルノ雑誌の相談コーナーではペンネーム「アバズレ調教師」
ソフトコアのポルノ小説ではトム・スタンクス
都会小説ではJ・デューク・ジョンソン
ヴァンパイア小説では女性名、シビリン・ロリンド-ゴ-ルド
それぞれのジャンルでそれなりにファンもいるのですが、母親からも、そろそろちゃんと小説を書いてはどうかと説教されている
ダリアンはトム・スタンクスのポルノ小説のファンで、編集部気付で手紙をよこしたのです
いよいよ本名で作品を世に出すことが出来るしお金も入る、と軽い気持ちで受けた仕事がハリーをとんでもない事件に巻き込みます
自分のことをしがない二流小説家に過ぎないと考えているハリーが事件終盤で推理を働かせ解決に導くあたりなどは、二流は二流なりに小説を書いてきた経験が役に立っていたりして、「良かったじゃない」と誉めてあげたくなりました
作家としては成功していませんが、人間としてはとても魅力的です
ラストの1ページは、読み返せば返すほど、この小説の面白さ、巧みさが思い出されて満たされた気持ちになれます
どんな小説も所詮は「ポーの一族」の亜流・・・と、私には思えてしまうのですが。
超有名な作品を読む機会をくれた息子に感謝。
直感的に最初に頭に浮かぶものが主流になるんですよね。
欧米ではヴァンパイア物の人気は衰えないでしょうね~。
本当にたくさんの読書をされていて、素晴らしいです。
この作品の映画化作品なのですが、
小説を読んでいないので正確だとは言い切れませんが、
確かに、あんまり観たくない死体がいくつも登場するものの、
残虐さを強調するより、犯人の美意識を尊重しているような画面だったと思います。
とは言いつつ、心の中で、「作り物かCGだから」とかなり言い聞かせながら見てたわけですが(^-^;
とりあえず、それだけお知らせしようと思って・・・
遥々小説カテまでお越しいただきありがとうございます。^^
死体無しでは成り立たない作品ですものね。
ちょっと目を逸らしつつ鑑賞してみようかな、と思い始めました。
ドキドキ。