読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

三浦しをん「風が強く吹いている」

2012年07月27日 | ま行の作家

 

新潮文庫

2009年7月 発行

2011年6月 14刷

解説・最相葉月

659頁

 

 

しをんさんの代表作のひとつ

やっと読めました

 

箱根駅伝に挑戦する無名の大学陸上部の一年を描いた純度100%の疾走青春小説

 

春の宵、銭湯からの帰り道、大学生の清瀬灰次が左官屋とのんびり歩いていると、一人の男が脇を通り抜けていった

その男は、万引き犯でコンビニの店員に追いかけられていたのだった

その走りが並みのものではないと見た灰次は、左官屋の自転車を借りて彼を追いかける

それが灰次と蔵原走(かける)の出会いだった

 

灰次は、大学入学の準備にと親からもらったお金を全部麻雀に使ってしまい、次の仕送りまで食べるものも寝るところもないという走が自分と同じ大学に入学予定と知って、自分が暮らす「竹青荘」に連れて行く

そこに住んでいるのは全員同じ大学の学生だった

 

走がやってきたことで、いよいよ灰次の計画が実行に移されるのだった

それは竹青荘に住むメンバーで『箱根駅伝に出場すること』

双子のジョージとジョータ、クイズ番組大好きなキング、留学生のムサ、漫画で部屋が埋まりそうな王子、ヘビースモーカーで5年も大学に通っているがまだ3年生のニコチャン、司法試験に合格済みのユキ、出身は山奥の村、そこで神童と呼ばれていた神童、優れたランナーだったが高校時代に暴力事件を起こして陸上部を辞めた走、そして走と同じように高校時代は将来を嘱望されていたが怪我に苦しんだ灰次

ギリギリ10人で箱根駅伝を目指す、無謀な挑戦に向けた日々が始まった

 

日々の練習、記録会、合宿

灰次と走以外は、ど素人の集まりなのだがリーダー灰次の下で徐々に力をつけていったメンバーはついに箱根駅伝の出場権を得る

そして、いよいよその日がやってきた

往路・復路、各区ごと、メンバーが走りながら思うことが綴られていきます

ひとりひとり、どんな人生を送ってきたのか、走るというのはどういうことなのか、これからどうしていくのか、etc

脚光を浴びて当然で、走るということを以前から深く考えてきた灰次と走だけでなく他の8人の思いも強く伝わってきて、駅伝はスターが単独で走るものではなく全員が襷を繋いでいくものだ、ということに改めて気づかされます

ベタでわかっているけど感動しますね

 

駅伝を通して育まれた友情と若者たちの成長に乾杯!

 

 

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 森絵都「月のふね」 | トップ | デイヴィッド・ゴードン「二... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
箱根駅伝 (たんぽぽ)
2012-08-18 19:26:52
私も、今作は大好きです。
駅伝本番当日の緊張感や、走者の順に一人ひとりの思いが語られていくところ、
うまいですよねー。
これまでお正月の箱根駅伝をあまりきちんと見たことがなかったのですが、今作を読んでから、とても興味を持って見るようになりました。
返信する
たんぽぽさん (こに)
2012-08-19 20:28:07
ハイジのゴール前、ここでタイトルと同じ言葉が出てくるとは!
感涙でした。
友達が、今年のお正月に箱根駅伝を見に行って感動したと言っていましたが、本書を読んで納得しました。
順位はともかく、皆がそれぞれの思いを胸に走っているのでしょうね。私も次の箱根駅伝はしっかり見ようと思いました。
映画が公開された頃は、まだしをんさんに興味がなくてパスしました。機会があったら見たいです。
返信する

コメントを投稿

ま行の作家」カテゴリの最新記事