2011年 韓国
英題 Late Blossom
まだ暗い冬の早朝
妻に先立たれ引退後は牛乳配達のバイトで小遣い稼ぎをしているキム・マンソク(イ・スンジェ)は住宅街の坂道でリヤカーを引く同年代の女性ソン・イップン(ユン・ソジョン)が転んだところを助けた
以前からそこですれ違っていて、彼女のことが気になり始めたマンソクは毎朝坂道で彼女が現れるのを待つようになるのだった
でも、会おうと思うとなかなか会えなかったりするものですよね
頑固で口の悪いマンソクが、青春時代の淡い恋の始まりのような表情を見せるのが可愛らしかったです
一方、イップンがリヤカーを置かせてもらっている駐車場の管理人チャン・グンボン(ソン・ジェホ)には認知症の妻(キム・スミ)がいて献身的に介護を続けている
ある日、家に鍵をかけずに職場にきてしまったことに気づいたグンボンはイップンに妻の様子を見てきて欲しいと頼む
妻が家にいないことがわかって街中を捜し回るグンボン
日曜の朝、孫娘(ソン・ジヒョ)から「散歩にでも行ってきたら」と言われたマンソクが公園に来ると、そこには寒空の下、上着もなくサンダル履き、砂を口にする老女がいた
それはグンボンの妻で、罵詈雑言を浴びせながらも自分の上着と靴を彼女に貸し、家捜しに一役買うマンソク
イップンがマンソクらを見つけ、妻はグンボンに背負われ無事帰宅するのだった
二人の後姿をみて「あんな風に老いたかった」と呟くイップン
身寄りもなく文字が読めず、古紙回収で生計をたてているイップンの身の上話に心を動かされたマンソクは役所に彼女を連れていき生活保護が受けられるようにしてやったり食事に誘ったりするようになる
祖父の恋を応援する孫娘に、文字を覚えたばかりのイップンが書いた手紙を見せるマンソク
二人の「老いらくの恋」は、とても純粋でピュア
節度があって微笑ましいものです
生活保護を受けられるようになり古紙回収の仕事をやめたイップンは昼間はグンボンの家で妻の世話をして過ごすようになり、互いに助け合い支え合いながら4人の老人の穏やかな日常が続くかのように思えたのだが…
イップンの家もグンボンの家もマンソクの牛乳配達のルートにありました
イップンの「バイクが転ばないように街灯を点けて」という心配りから後は目頭がジ~ンとなる場面の連続
ラストの「ET」みたいな絵
カメラが後ろにさがった時には実に上手い!と思いました
グンボンが、イップンが、マンソクが選んだ道はそれぞれ違い
マンソクとイップンの恋は遅すぎて、大きく花開くことはなかったけれど
人は何歳になっても人との繋がりを持つことが出来るし、思いやりがあればこの社会は暮らしやすいものになるのかな、と感じました
マンソクの孫がイップンの自宅を訪ねて自己紹介をするのですが彼女の名前は、なんとキム・ヨナ
イップンが「氷を滑る人と同じ名前ね」と微笑みます
いまさらですが、キム・ヨナは韓国では知らぬ人のいないスーパーヒロインなんですね~
韓国らしい笑いも随所に、現代社会を批判しつつ、とても温かな思いの残る映画でした
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