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西條奈加「善人長屋」

2013年01月08日 | さ行の作家

 

新潮文庫

2012年10月 発行

解説・末國善巳

372頁

 

 

裏稼業を持つ悪党たちばかりが住む長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた

根っからの善人・加助が加わったことで、元々善い人ばかりが住むと評判の長屋はますます善人長屋の名を高めていく

 

加助は人の不幸を見過ごせない性質で困っている人がいるとすぐ長屋に連れ帰ってきて、助けを求める

盗品を捌く窩主買いの差配

情報屋の髪結い

美人局の兄弟

騙りやの夫婦

悶着を持ち込まれるのは困るといいながらも加助の手助けに奔走する長屋の面々

裏稼業があるからこそ表向きは善人で通している面々、加助を手助けしている姿を読んでいると、義賊といいますか、本当に根っからの善人に見えてきます

 

ひとつひとつの話に、妻子を大火で失ったという加助の悲しい話に関わってくる悪人退治、長屋の面々の過去などを織り交ぜた人情時代小説

加助はもしかしたら誰よりも「悪人」かも、と思いながら読みましたが最後の最後まで「善人」でした

 

連続ドラマ化されたら面白いかもしれません

 

 


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