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宮本輝「草原の椅子」

2013年04月09日 | ま行の作家

 

幻冬舎文庫

2001年4月 初版発行

2012年12月 4版発行

解説・重松清

上巻 373頁

下巻 411頁

 

 

佐藤浩一さん主演で映画化されましたが、概ね不評のようですね

原作はどうなのかと思い読んでみました

 

主人公は遠間憲太郎、50歳

妻とは離婚、大学生の娘と大阪で二人暮らしをしている

大手カメラメーカーの大阪支社で、そこそこの地位にあるサラリーマン

 

遠間の親友、富樫繁蔵

大不況の中悪戦苦闘しながら頑張っているカメラ量販店の経営者

 

二人はよく酒を飲み交わしながら、政治、経済、国の問題などについて語り合います

語り合うといっても、明るい未来や夢ではなく、不平不満が殆ど

こんな場面が何度も何度も出てきて、何だかなぁ、と思いましたら、あとがきに阪神大震災の後、本作執筆前に「この国への憎悪」に似たものがつきまとって離れなかった、とあり納得

年齢が自分と近いのに、主人公の言動に少し古い感じを受けたのも、昭和22年生まれ(著者と同い年)という設定になっているのがわかって納得

山田洋次監督「東京物語」で父親が居酒屋で管を巻いていたときの会話よりはマシだけれど近いかな

 

 

遠間や富樫と周囲の人々を描きつつ、人生やり直しの旅に出ることにした二人は、苦しみや悲しみに満ちたこの国で再び生きる価値を見つけることができるのか

 

全般に訴えたいことはわかるのですが、細部にどうしても受け入れられないものがちょくちょく出てきます

この年代の男性が持っているものなのかもしれません

 

宮本輝さんの感性は自分には合わないみたいです

(以前読んだ「錦繍」は良かったですが)

丸谷才一さん、高樹のぶ子さんもダメでした

優れた文筆家であるとは思いますが、上から押さえつけられるような息苦しさを感じます

 

映画は観なくて正解でした

 

 


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2 コメント

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熟年男性の私噴 (rose_chocolat)
2013-05-02 07:17:13
こんにちは。
こちらの原作読まれたんですね。

私は宮本作品は割と好きで、いくつか読んでますが、これは未読。
>全般に訴えたいことはわかるのですが、細部にどうしても受け入れられないものが
>この年代の男性が持っているものなのかも
阪神大震災後に、心境のようなものを書いたということを知って、これは本はいいかなあと思ってしまいました。
男性の心の澱のようなものなのでしょうかね。阪神大震災後さらに加速したストレス社会に生きたらそうなってしまうのでしょう。

映画は観ましたが、大変盛りだくさんな内容を一気に映画にして、しかしながら尺を取らなくてもいいシーンに時間かけていたり、全体的にバランスが悪いかなと感じながら観賞しました。
2人の中年男性役の佐藤浩市さん、西村雅彦さんはよかったですけどね。
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rose_chocolatさん (こに)
2013-05-02 13:30:07
理解に苦しむところが多いのは自分が大災害を経験していないこともあるのかもしれません。
原作で800頁弱、映画化するには色々と難しかったのでしょうか。
佐藤浩一さん主演なので興味はあったのですが、佐藤さんの役柄が原作の通りに描かれていたとしたらやはり観なくて良かった…、です。
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