新潮文庫
2007年8月 発行
2011年6月 4刷
解説・金原瑞人
289頁
大学教授・村川融をめぐる妻、愛人、愛人の夫、娘、息子、義理の娘、助手の男性を描いた連作短編集
男女間のドロドロを描いたものはあまり読まないのですが、これは良かったです
そもそも、三浦さんが本作で描いているのはそんな浅いものでもないのですけどね
村川融という男を中心に置いた男女の、家族の、親子の愛
人の心の襞が、流れのある文章に丁寧に表現されています
ミステリーっぽい要素もあってワクワクドキドキしながらあっという間に読んでしまいました
一番興味惹かれたのは、最初と最後で登場する、大学で村川の助手だった三崎という男性とその妻の話でした
直接村川の愛憎問題に関係無さそうな彼にも大きな影響があったという話しの持って行き方が面白かったです
30歳前に、こういう作品を発表されているとは、恐るべし!三浦しをんさん
三浦しをんさんは、こういうのもいいのですが、やはり最近のいろいろな職業から取材したストーリーが好きです。
どうしてもっと早くしをんさんを読まなかったのかしら、と思う今日この頃です。