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beads cafe の片隅で

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パノラマ島綺譚

2005年01月24日 | 不思議な話


少し前の話になりますが、元旦に島根県の「花と鳥の公園・松江フォーゲルパーク」を訪ねました。

大きなボタ雪が降りしきる、山陰独特のどんよりとした曇り空の中、
正月の朝からここへ来ようという、ある意味おめでたい人はあまりなく、
入り口あたりは、妙な静けさと鳥達の「キーッ!」という鳴き声が不気味に聞こえてくるだけ・・・。

しかし館内に入ると、そこは別世界。赤、ピンク、オレンジなどカラフルで直径15cmはあろうかという、
大輪の花々が、あたり一面に咲き誇り、外のモノトーンな雪景色との落差に一瞬クラっときました。

「ここ、前にも来た事あるかも・・・」いわゆる、デジャヴというやつ?
でも、すぐに気づきました。「ここはパノラマ島だわ!」

乱歩ファンの方ならもちろんご存知でしょう。ある不遇の男が長年ひとり夢見ていた願望を満たそうと、
自分そっくりの男になりすまし、無人島と莫大な資金を手に入れ、人工的な地上の楽園を創造するも、
最後は破滅していくという奇天烈な小説です。

残念ながらお色気たっぷりのお姉さん方はひとりも居なかったものの、(あたりまえですが)
色とりどりの鳥達と、これでもかと咲き誇る原色の花々、温室独特のチープでキッチュな雰囲気は
まさに「あの」世界に私は思えました。
皆のもの、近こう寄れ。歌い、踊るのじゃ!私はパノラマ島の女王なのですから・・・。
叶和貴子気分で館内を巡り歩いていたのは私ぐらいでしょうか。楽しい一日でした。

色とりどりの花は、「球根ベコニア」といって、鉢植えでも売られています。
一見、大輪のバラか、ボタンと見まごうばかりの、それはそれは夢のように美しい花です。



【今日の一本】
天国と地獄の美女~江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」

天地茂のニヒルさといったら、本当に素敵。
乱歩の原作をビジュアルで表現すると、あまりに荒唐無稽ではありますが、
人間って滑稽で悲しい生き物なんですね。BGMもイカシテます。


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