世界の移民政策、移住労働と日本

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世銀の労働者送金に関する年次レポート

2010年11月10日 | 移民・移住と開発
Migration and Remittances Factbook 2010
World Bank




世銀の労働者送金に関する年次レポートが11月8日に発表されている。地域、国ごとに移民数と送金額をまとめたリファレンスレポートだ。開発途上国に流入する労働者送金額は毎年着実に成長を記録しており(金融危機に見舞われた2009年を除く)、2010年は、2008年と同額の3250億ドルまでに回復、そして2012年には史上最高額の3740億ドルになると見込んでいる。


労働者送金は、まだまだ研究と積み重ねが必要な開発経済の分野である。基本的な指標をまとめるこのレポートだけでも一筋縄ではいかない。各国の中央銀行が出すデータだけでなく、独自研究などに基づいた推定額を出している。非公式ルートの労働者送金がまだ多い中である程度のサバ(guesstimate)も必要な分野なのだ。世銀はここ10年ほどで多数の途上国の労働者送金の流れを集計する研究を行ってきており、その集大成としてこのレポートがある。

このような報告書が、更なる労働者送金の研究に拍車をかけることが期待される。なぜなら、レポートが報告する労働者送金の基礎データはマクロ経済的視点としては有益だがそれ以上には多くを語らないからだ。送金がどのように使われているのか、誰がその恩恵を享受しているのか、貧困削減に効果を挙げているのか?産業発展への影響は?  つまるところ、労働者送金が経済・社会開発のテコとなるのか、なるとすればどのようにその効果を挙げていくのか、この質問に答えていかなければいけないからだ。

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