世界の移民政策、移住労働と日本

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イタリアで働くフィリピン人労働者の母国送金に関する調査

2011年06月17日 | 移民・移住と開発


Harnessing the Development Potential of Remittances: The Italy-Philippines Migration and Remittance Corridor

出稼ぎ大国フィリピン。主な出稼ぎ先は中東や東南アジアですが、ヨーロッパでもとくに家事や飲食店などのサービス業に従事しています。今までのイタリアで働くフィリピン人労働者(OFW)に関する小規模の調査は行われてきましたが、OFWの家族構成、収入、送金の額や頻度などについての細かな調査は行われていませんでした。この調査ではイタリア、フィリピンで300人ものOFWに直接インタビューすることで、さまざまな現状を把握することができました。

この調査からわかることは、OFWがその収入の多くを送金していること(平均にして月350ユーロほど)その送金はイタリア滞在が長期化しても持続していること、また、送金ほかにも手土産として多額の現金やプレゼントを持ち帰ることで実際の「送金額」は公式の送金額の倍近くになると試算されます。故郷で錦を上げたいのは国を問わず同じなようで、こうした出費のため、まとまった長期的な貯蓄ができていないOFWが大多数であると見込まれます。

調査では送金が土地住居と教育などの長期的視点にたった投資に充てられていることを明らかにすることができましたが、高等教育を受けた子供たちがイタリアに呼び寄せられ、家事労働に従事する選択肢しかない現実や、送金に依存する残された家族の姿、地元産業の衰退などの影響も見受けられました。出稼ぎ労働が母国の経済にどのような影響を及ぼすのか、よりよい影響を生み出すための施策はないか? さらに調査を進めたいところです。まず第一歩として、ニーズのあったファイナンシャルプランニングの講座をOFWとその家族向けに行いました。もうすこし計量経済学的に調査データを洗いなおしたいところです。

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