真っ暗な中、カサコソカサコソ音がする。 まだベッドの中で目が覚めない私の耳に聞こえるあの音が、廊下を行ったり来たりしている。
・・・・・ジェーンだ!!・・・飛び起きて寝室のドアを開けたら、いない。 夢?
廊下の電気をつけたら、なんと寝室の向かい側の娘の部屋で、ジェーンはかがんでいた。 足元には大きな水溜り。
ジェーンはばつが悪そうな顔をこちらに向けるが、途中で止められなくて困っている様子。 その顔は、いつもの若作りジェーンとはかけ離れた、老犬そのものだった。
用を足したジェーンは、照れ笑いを浮かべながら、私と一緒に階段を下りてゆく。 玄関のドアを開けてやると外へ飛び出して行って、興奮気味に走り回っている。 時計を見ると5時過ぎ。 私はたくさんのボロ布と洗剤と消臭殺菌スプレーを手に二階へ上がり、何度も何度も拭き掃除。
・・・叱れない。 恐縮して照れ笑いを浮かべた老犬の顔を思い出すと、とても叱れない。 きっと、玄関でキュンキュンとささやき、階段を上がって私を探してウロウロしたあげく、我慢できずにガランとした娘の部屋で用を足そうと決めたのだ。 隣りのアトリエではなく、床に何も置かれていない部屋を選んだのだ。
夜、ジェーンを玄関に入れてやろうと呼ぶと、「ちょっと待ってて」という表情をして、庭の隅に行き、トイレを済ませる。 朝まで我慢できなかったことは、今までになかった。 年をとるというのは、こういうことなのだろう。 仕方のないことなのだろう。
だけど、ジェーン、怪しい人が門に近づいたときは、あんなに大声で吠えているじゃないの。 「ママ、トイレ~!」って、大声で吠えてよね、これから・・・。
・・・・・ジェーンだ!!・・・飛び起きて寝室のドアを開けたら、いない。 夢?
廊下の電気をつけたら、なんと寝室の向かい側の娘の部屋で、ジェーンはかがんでいた。 足元には大きな水溜り。
ジェーンはばつが悪そうな顔をこちらに向けるが、途中で止められなくて困っている様子。 その顔は、いつもの若作りジェーンとはかけ離れた、老犬そのものだった。
用を足したジェーンは、照れ笑いを浮かべながら、私と一緒に階段を下りてゆく。 玄関のドアを開けてやると外へ飛び出して行って、興奮気味に走り回っている。 時計を見ると5時過ぎ。 私はたくさんのボロ布と洗剤と消臭殺菌スプレーを手に二階へ上がり、何度も何度も拭き掃除。
・・・叱れない。 恐縮して照れ笑いを浮かべた老犬の顔を思い出すと、とても叱れない。 きっと、玄関でキュンキュンとささやき、階段を上がって私を探してウロウロしたあげく、我慢できずにガランとした娘の部屋で用を足そうと決めたのだ。 隣りのアトリエではなく、床に何も置かれていない部屋を選んだのだ。
夜、ジェーンを玄関に入れてやろうと呼ぶと、「ちょっと待ってて」という表情をして、庭の隅に行き、トイレを済ませる。 朝まで我慢できなかったことは、今までになかった。 年をとるというのは、こういうことなのだろう。 仕方のないことなのだろう。
だけど、ジェーン、怪しい人が門に近づいたときは、あんなに大声で吠えているじゃないの。 「ママ、トイレ~!」って、大声で吠えてよね、これから・・・。