好きになれないモノのひとつに携帯電話があります。
たしかに便利な道具であることは認めますが、自分には必要ないので普段は持っていません。
たまに家族から「どこに行ってたの?」とブーイングがありますが、それとて、たいして困りません。
それどころか先日、「やっぱり好きになれない!」と思うことが立て続けにありました。
所用で駅前まで出かけると、どこからか大きな怒鳴り声が・・・
な・なんじゃ???と思って見ると、中年サラリーマン風の人がガミガミ携帯にがなり立てています。
どうやら部下に向かってのようで、パワーハラスメントまがいのひどい内容でした。
仕事をしてりゃあ、腹の立つこともあるでしょう。
呆れて、情けなくて、ガツンと言いたいことも、たまにはあるでしょう。
それでもこれまでなら、会社に帰る道すがら、腹の虫も徐々に収まり、いろいろ考える時間もあったというもの。
何が原因でこうなったのか、どう叱れば真意が伝わるか、上司として反省すべき点は・・・
という具合に、一呼吸おいて事態に臨むことができたはず。
それが携帯のせいで「腹が立ったらその場で怒鳴る」直情型の人間が野放し状態になっています。
あれじゃぁ、部下には全く伝わっていないだろうし、あとで自己嫌悪にもなるんだろうな・・・お気の毒に
もうひとつは明るめの話。
やはり駅前で、オシャレをした女の子が待ち合わせの様子。
デートなんだな

と勝手に思って、ほほえましく見ていると彼女の携帯に着信。
「えぇぇぇ~まじぃぃ?

・・・わかった。じゃぁどっかで時間つぶしてるから終わったらメールして・・・」
と不満そうにプイッとどこかへ行ってしまいました。
おそらく相手に都合ができて、待ち合わせに間に合わないということなのでしょう。
便利だけど味気ないなぁ。携帯のせいで恋の醍醐味も味わえないのか・・・
「待たせちゃいけない

」とシャカリキに用事を済ませ、小走りになるハラハラ感も
「何で来ないの?

」とドキドキしながら待つ時間の長さも!
恋のエピソードによくある『 ○○時間も待ち続けました。』というのも現代っ子には???なんだろうな。
携帯電話は便利な道具だけれど、感情を薄っぺらいまま発信してしまうようにも感じます。
良いにつけ悪いにつけ、感情にある程度の“ 発酵期間 ”を持たせた方が、
豊かな人間関係を創ると思うんだけどなぁ。
何ごとも熟成させた方が味わい深くなるというもの。 人生もまた。