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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

僕たちのアナ・バナナ(V)

2008-07-13 08:57:50 | 映画(は)
評価点:75点/2000年/アメリカ

エドワード・ノートン監督のアメリカン・ラブ・コメディの傑作。

ブライアン(ノートン)はカトリックの神父。
幼馴染であるジェイク(ベン・スティラー)はユダヤ教の神父。
親友同士の彼らの元へある日、同じく幼馴染のアナ(ジェナ・エルフマン)が仕事でやってきた。
ユダヤ人同士でしか恋愛を認められていないジェイクは、彼女と恋に落ちてしまう。
一方、禁欲を神に誓ったはずのブライアンも彼女に恋してしまい……

▼以下はネタバレあり▼

ものすごいわかりやすい三人の構図が物語を明瞭にして、感情移入しやすくなっている。
現実的にありえるかどうかは、一旦置いておいて映画としては典型ではあるが、面白いプロットになっている。

絶対に結ばれてはいけない関係の三人。
ユダヤ教の神父のジェイク(当然ユダヤ人)に彼に真剣に恋するアイルランド人、アナ。
そして彼女のために神を捨てようとする、禁欲を誓ったはずのブライアン。
人種や宗教にからめてそれが描かれ、恋愛ものとしてはそのジレンマがよくわかる設定が冒頭の部分からわかる。
その設定が明かされてからは、物語がかなり読みやすい方向に進んでいくことになるが、観客もそれを望んでいるので問題なし。
むしろその「どうにもならない状況」を楽しませる、コメディの要素が効いていて、飽きさせない。

アナがブライアンにキスしてみせたり、ユダヤ教の取り巻く環境をキョーレツなお見合い相手で見せたりと笑いによって重たい関係である三人を巧く表現している。

もちろん気になる部分はある。
物語後半(おかんが倒れるあたり)からは、かなり都合がよく進み結局ありきたりなハッピーエンドになっているし、ブライアンの回想で語られるはずの話が、妙にジェイク中心で進む。

そもそも彼があのように語る前半部の構造は必要なかっただろう。
神父がうなだれるに至った原因に、サスペンス効果を期待したのだろうが、あれだけわかりやすい設定なのだから、
そうした時間的転倒はあまり効果はなかったと思われる。
(結局あの酒場のマスターは以後出てこないし。)
あれの後から急に物語にリアリティがなくなってしまったのが残念でならない。

僕としてはもっとブライアンが悩んでほしかったが後半部でそれがなく、すこしがっかりだった。
神にまで背こうとした恋なのに、あっさり友人を許してしまうのはいくら神父とはいえ、寛大すぎる。(物語としては仕方がないけど)

とはいえ、この映画はかなり面白い。
ベン・スティラーといえば、「メリーに首ったけ」のイメージが強いが、この役もはまり役だった。
ノートンもよかった。
彼女から状況を明かされたときの彼のリアクションはリアルだと思ったし、あのワンシーンだけでも泣けそうだ。(コメディだから実際は泣けないけど。)

久しぶりにいい恋愛映画を見た気がする。

(2002/09/06執筆)

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