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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

17歳のカルテ(V)

2008-07-13 23:44:53 | 映画(さ)
評価点:68点/1999年/アメリカ

監督:ジェームス・マンゴールド
総指揮:ウィノナ・ライダー

精神の病を克服する女性を描いた注目作。

スザンナ(ウィノナ・ライダー)は、現実と夢の境を失った「ボーダー・ライン」人格障害の女性。
彼女は治療のために「クレイモア」と呼ばれる精神科の施設に入った。
それまで同性の友人が少なかった彼女は同じような悩みを持つ入院患者と心を通わせていく。

スザンナ役にウィノナ・ライダー、リサ役にアンジェリーナ・ジョリー、ジョージーナ役にクレア・デュヴァル(「パラサイト」の女優ね)、看護婦役にウーピー・ゴールドバーグという注目の女優が出ている作品。
若手女優をつかっているからといっても、映画自体のクオリティは悪くない。
彼女たちの演技力も手伝ってキャラクターは明確で、設定と展開がうまくかみ合った作品に仕上がっている。

▼以下はネタバレあり▼

スザンナの精神状態を見せるために、過去と現実を相互に展開させることによって、彼女の大体の生い立ちと立場、悩みなどが理解できる。
正常であると信じる彼女が、施設に入る際みせる戸惑いも、感情移入しやすい。
リサやジョージーナのキャラクターもつかみ易く、彼女たちになじんでいくスザンナにも必然性を感じることができた。

序盤、中盤にかけては重く難しいテーマであるにもかかわらず、それほどだれた印象はないが、退院した友人が自殺した後からは少し展開が速くなり、逆に物語としては盛り上がりに欠ける。
物語の終盤であるのだから、もう少し緊張感を持たせてほしかった。
自殺した時点でかなり展開が読めてしまうし、長いエピローグが続くような感じになってしまった。

友人の自殺後の主人公の変化も少し感情移入しにくかった。
「安住していてはいけないのよ」というドクターの台詞はよくわかるのだけれど、彼女は実際に何をつかんだのか、彼女が夢と現実を断ち切るのにどう変化したのかが、展開の速さも手伝って曖昧だった。

60年代という時代設定も不満だ。
外界の世界があまり描かれないために、60年代であるかがわかりにくかった。
アメリカの歴史的背景にあまり明るくないからかもしれないが。

タイトルの「17歳のカルテ」という意味もわからなかった。
主人公のスザンナは18歳以上のはずなのに、(18歳以上は入院署名に自分でサインしなければならない)
17歳のカルテなのか? 僕の見落としかもしれない。

それでもかなりいい作品であることは間違いない。
特にA・ジョリーの壊れっぷりは、その後の活躍を占うような凄みがあった。
まさかブラピと結婚するとはねぇ。
出産おめでとうございます。

(2002/09/02執筆)

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