secret boots

ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

コヨーテ・アグリー(V)

2008-08-03 13:50:02 | 映画(か)
評価点:74点/2000年/アメリカ

監督:デビッド・マクナリー

夢を目指す女たちが働くバーを舞台にしたサクセスストーリー。

ヴァイオレット(パイパー・ペラーボ)はニュージャージー出身の女性。
彼女はシングソングライターになって名をあげるのが夢。
ニューヨークにやってきた彼女が目にしたのは、全く相手にしてくれない音楽会社だった。
そこで彼女はコヨーテ・アグリーというバーで働きながら、アガリ症の自分を鍛え、曲を書こうと決める。

▼以下はネタバレあり▼

アメリカで夢を叶えるという典型的なアメリカン・ドリームの映画。
女性を主人公にしても目新しいところはない。
しかしバー・コヨーテの生々しい雰囲気により、飽きさせない映画になっている。
右も左もわからないヴァイオレットのティーシャツをいきなり鋏で切り取り、始まるのはカウンター上でのダンスショー。
カメラは基本的に固定だが、客とコヨーテたちのやりとりが凄まじく、臨場感がある。
このショーを見ているだけでも、十分にこの映画を観る価値があるのではないか。
映画の見せ場として巧い演出だ。

しかし物語の根幹はやはり夢を叶えるかどうか。
ステージで唄えないというトラウマをもつ主人公がコヨーテで働く理由は、金以外にない。
実際ラストで唄えるようになったのは、彼氏のケヴィンのおかげであり、コヨーテでのことは基本的に活かされていない。
つまり、映画の見せ場と、物語の軸が断絶してしまっている。
コヨーテで盛り上れば盛り上るほど、ヴァイオレットの夢からは遠ざかっていく。
この展開は少し残念だ。
物語の中盤で恋人のケヴィンが、「何をしているんだ」とヴァイオレットに忠告するが、正にその通りである。

この忠告を境にして物語は一気に動き出す。
コヨーテを追い出され、ケヴィンにも新しい彼女ができ、父親は骨折する。
この展開の急具合でもいかにそれまでの話が物語の展開を遅くしていたかがわかるのだが、
この父親の足の骨折が少し強引で、その後母親がなぜステージから引退したかを明かす父親の心理が明確でないため違和感を覚える。
前のシーンではものすごい喧嘩をしたはずなのに、急に理解ある父親に変貌するのは、つらい。
また骨折するならその伏線を引いておくべきだった。
むしろあれだけジャンク・フードが好きな父親なら、脳溢血や心不全のほうが説得力がある。
役どころとしてはものすごく巧いのだからもったいない。

コヨーテのリルがウエイトレスをするヴァイオレットに、「いつでも戻ってきていいのよ」といいに来るシーンも唐突すぎる。
ケヴィンがヴァイオレットのステージを見に来て、そのあとモトサヤに戻るのも説明不足だ。
ケツの軽い男に見える。そもそも彼の目指すところも不明だ。
あれほどお金を貯めないと生きていけないところなのか?

ヴァイオレットが唄っている歌は複数あるが、一曲に絞ったほうが感情移入しやすかった気がする。

多少の疑問はあるにせよ、完成度は高いと思う。
キャストを全くの無名をつかった監督の意図は、十分効果を発揮したと思う。
無名であるがゆえにコヨーテの雰囲気が作られていた。

主人公のパイパー・ペラーボは要チェックだ。

(2002/08/24執筆)

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