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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

リプリー(V)

2008-08-11 11:06:00 | 映画(ら)
評価点:37点/1999年/アメリカ

監督:アンソニー・ミンゲラ

名作「太陽がいっぱい」のマット・デイモン主演によるリメイク作品。

ピアノの演奏によってニューヨークの各地を転々としていたトム・リプリー(マット・デイモン)は、ある日大富豪のグリーンリーフ氏に出会う。
そして彼からイタリアにいるディッキー(ジュード・ロウ)をアメリカに連れ戻すように頼まれる。
イタリアに着いたトムは、ディッキーのあまりの豪遊ぶりと、自分の境遇を重ね、ある日彼はディッキーを殺して自分が成り代わることを思いつく。

▼以下はネタバレあり▼

もちろん、「太陽がいっぱい」の流れで観た。
よって三つの作品を立て続けにみたことになる。
やはり比較しながら観た。

冒頭からは比較的原作に忠実だったが、決定的に違うのはトムが「ホモ」だったことだ。
どう贔屓目にみてもトムはディッキーに惚れていた。
それがどうしても違和を感じた。

それは殺人の動機までも影響していく。
つまり「好きだからゆえ殺した」というようにとれるのだ。
その時点ですこし観客は引いてしまう。
いくらなんでも男性に愛を見てしまう主人公には感情移入できない。
伏線もないので少し驚いてしまう。

その他キャラクターが描けていないように感じる。
ピーターもいきなり重要人物のポストをいとめ、マージのキャラクターも少し掴めない。
トムにディッキーの正確を忠告するが、結局はディッキーに心底ほれ込んでいる。
グリーンリーフ氏の行動も妙だ。
息子を「選べない」と憎んでいるのに、私立探偵まで雇って必死に探している。
全体的にキャラクターの動機や立場が曖昧になって、玉虫色の登場人物が多い気がする。

トムの行動もやはり不可解だ。ディッキーを殺した事はまだ理解できるが、マージに詰め寄るシーンや、ピーターまでも殺してしまうのは理解できない。
指輪を奪ったが、あの描き方では恋人のものを身に付けていたかったようにとれる。
しかしその指輪はディッキーの恋人が渡した物なのだ。

そして全体的に頭が悪い印象がある。
頭脳派であるから他人に成り代われたのに、待ち合わせの時間を十五分だけしかずらさなかったり、他人に自分の秘密を打ち明けようとしたり、心の弱さ以上に、頭の悪さが垣間見える。
殺人後の処理も曖昧で首を傾げたくなる。

ディッキーを演じる部分が少なく、本当になりきっていたのかも微妙だ。
見ている側には殆んど二人のキャラクターの差がない。
ディッキーらしく振舞っているように見えない。
はじめにあれだけネタ振りをしていたのに、殆んどそれが活かされていない。

全体的にサスペンスとして失敗していたと思う。はらはら感がない。
キャストも、ジュード・ロウ、マット・デイモンは素敵だったけれど、マージ役の女優はちょっと歳行きすぎの気がする。

(2002/07/31執筆)

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