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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

村上龍「希望の国のエクソダス」

2015-04-05 11:45:30 | 読書のススメ
★ネタバレなし★

映画に見にいく時間が全然取れないので、とりあえず、本を読んだ。

村上龍の「希望の国のエクソダス」。
村上春樹ばかり読んでいたので、そろそろ龍のほうも手を出そうと思っているところで、その流れで手に取った作品だ。

2001年、まれに見る不況により、日本の失業率が七%を越えた。
人々はどこか閉塞感に襲われ、それでも抜本的な見直しや改革を打ち出せずにいた。
そんなある日、パキスタンの奥地で日本人らしき少年が地雷除去の活動をしていると、日本メディアに取り上げられる。
取材を申し込もうとしたテレビスタッフを制したが、強引に彼らは少年に詰め寄る。
そのとき事件が起こり、この「ナマムギ事件」をきっかけに、日本の中学生たちが集団で不登校になってしまう。

う~ん、ストーリーを書いていくとどんどん「ありそうもない話」になって、作品のおもしろさを伝えられない。
けれども、細かく書いていくと今度はおもしろみがなくなってしまう。
不思議だが、この作品もおもしろい。

特に、2000年前後、すでに物心がついていた私にとっては、「ああ、そういう時代だったなぁ」と振り替えってしまう。
ちょうどあの頃、就職氷河期で、未だに「失われた世代」と言われる時代だ。
どんな業界でもこのころに就職した人材が不足している。
すでに40歳台手前を迎えているはずなのに、よい中堅社員がいない。

この後、日本は規制緩和などでなんとか持ち直し、現在に至るわけだが、ポンちゃん(不登校を選んだ中学生の代表)が訴えた現状は大して変わっていない気がする。
経済に関する説明がたくさんされているが、私にはほとんどわからない。
それでもおもしろいと感じたのだから、読む価値はあると思う。

ポンちゃんの国会でのスピーチは、特におもしろく、怖い。


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