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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

NHKスペシャル取材班「縮小ニッポンの衝撃」

2018-01-08 13:27:05 | 読書のススメ

★ネタバレなし★

少子高齢化、年金問題、特殊出生率の低下、医療費の増大、働き方改革、待機児童の問題……。
さまざまな国の問題が、政治や選挙の争点になるのは、根本的に日本の人口が減っていっているからだ。

そんな当たり前のことは、議論され尽くしている、と思っていた。
だが、そんなことはなかった。
むしろ、私たちが直面している問題は、より深刻で、婚活や妊活なんていう生ぬるい個人のいとなみではなく、日本がなくなるかもしれないという喫緊の課題だった。
それがわかっただけでもこの本は読む価値がある。

最近NHKへの批判が強いから、その時点で手に取っていない人もいるかもしれないが、これは読むべき本だ。
この本を読んでより強く感じることがある。

あなたはどうやって生きていくのか、どうやって死んでいきたいのか、ということだ。
自分の生き方を真剣に考えなければ、この問題は解決できない。
今、楽な道をとることはできるかもしれない。

自分の生活を第一に考えて、好きなように生きて好きなように死んでいく。
けれども、それを可能にしているのは日本という国があるからこそ、だ。
医療も、水道も、電気も、年金も、介護も、すべては国が税金をかき集めることで、成立している。
その使い方がダメだ、もっと無駄をなくせる、という議論は簡単だが、それ以上に、今あるパイをどう大きくするかという議論をしなければ単なる文句にすぎなくなってしまう。

そのためには、自分が生きているこの国をどう考えるのか、そして自分はどう生きていきたいのか、真剣に考えなければいけない。
近い未来、私の息子たちの世代には、日本で住める土地が半分になるかもしれない。
日本という国が海外から称賛されたり、評価されたりする話はニュースに出るけれども、それを100年続けることはあまりにも困難な状況だ。

その空いた土地を、外国のファンドや投資家が買い上げて、新しい「街」を作り上げようとしたとき、だれが「待った」をかけられるだろう。
国の存亡、国のあり方を考えること、それは国が自分に何をしてくれるのか、という前に、一人一人が国のために何ができるかを考える必然に結びつくだろう。

国民ファースト、都民ファースト、それも大切だけれど、「未来世代ファースト」を議論できるかが、私たちに突きつけられている課題だろう。




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