secret boots

ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

アンロック 陰謀のコード(V)

2020-04-10 09:10:26 | 映画(あ)
評価点:56点/2017年/イギリス・アメリカ/98分

監督:マイケル・アプテッド

黒幕の、画面から溢れる存在感。

アリス・ラシーン(ノミオ・ラパス)はCIA尋問官だったが、彼女が担当するパリで24人が死ぬテロが起こった。
防げるはずのテロが起こったことで、彼女は自責の念に駆られ、現場を離れて、ソーシャルワーカーをしていた。
そんなある日、ロシアで開発された生物兵器を使って、イスラム教過激派のテロリストがテロを行うという情報がCIAに入った。
その使者(メッセンジャー)を当局が捕らえて、どのような方法でメッセージを渡すのかを聞き出そうとした。
しかし、イギリスに駐在していたCIAは別件で出払っており、尋問できるエージェントがいない。
アリスの元へ、元上司であるエリック・ラッシュ(マイケル・ダグラス)が彼女に現場に戻るように要請する。
渋るアリスだったが、街中でいきなり、CIAの使者に囲まれ、協力するように命令される。
19歳の容疑者を取り調べ、使者の承認方法を聞き出したところに、CIAから電話がかかり、同じ内容の命令が伝えられる……。

アマゾンプライムで見つけた作品。
あまり興味はなかったが、上映時間が短いので、眠気眼で再生した。
キャスティングも知らずに見た。

マッチョなオーランド・ブルームやマルコヴィッチが出ていることもあり、そこそこしっかりした映画になっている。
まあ、これを見るくらいなら他にも見るべき映画はたくさんあるので、家に缶詰になっている幸せな人は、見ても良いだろう。

▼以下はネタバレあり▼

ごく普通の、凡庸な作品だ。
もはやこれくらいのシナリオやアクションでは、私の心を動かされることはない。
申し訳ないが、可もなく不可もなくという評価が妥当なところではないか。
2時間ドラマのサスペンスを見るくらいの安心感で、ポテチを食べながら、もしくはよっちゃんいかを食べながら、見る程度の映画だ。

真相から書いておこう。
ロシアの生物兵器→テロリスト→イスラム系指導者→使者→実行犯という流れで生物兵器と指令が行く。
その使者の部分をCIAが捕らえて、実行されるテロを未然に防ごうとした。
しかし、それを知っていた黒幕が、その使者を更に誘拐して、その使者が知るプロトコル(認証方法)を、アリスに聞き出させようとした。
アリスはギリギリでそれに気づき、CIAとMI5という2つの諜報組織に追われながら、テロを防ごうとする。

登場のワンカットから、こいつが黒幕!というのがあっさり見抜ける映画である。
マイケル・ダグラスの、画の悪さと存在感とが「こいつが黒幕です」と伝えている。
結局ダグラス演じるラッシュが、テロを引き起こしていた黒幕だった。
途中、この流れをわかりにくくさせるため(観客に読ませないようにするため)仲間になったと思ったオーランドブルームも手先であることがわかる。
この「味方だと思ったのに敵だった」という展開が続くことで、ラッシュの存在を薄めようとしている。
(ラッシュの存在を忘れさせて、裏切っている内通者をわかりにくくさせようとしている)

しかし、残念ながら、まったくマイケル・ダグラスの存在感が失われることなく、観客の脳裡に残っていることだろう。
それくらい、悪い顔をしている。
とにかく、彼女は上司に2012年のテロまでも仕組まれていたことに気づき、見事、テロを防ぐのであった。

この映画がおもしろくないのは、ダグラスの顔のせいではない。
それよりも、細かい設定に説得力がないことだ。
むしろダグラスの顔だけが、悪としての説得力がある。

1つは、イスラム系過激派指導者が、「もう疲れたからテロやめるわ」と弱音を吐いているところ。
さすがにこれはちょっとそれだけの言葉では理解ができない。
もう少し指導者についての補足的な設定が欲しかった。
また、黒幕のラッシュが、なぜこんなにも大きな組織を動かすことができたのか、その資金はどこから生まれたのかが見えないことだ。
パリのテロで1億ドルくらい盗まれていた、というような設定がなければ、どれだけ志があってもどうにもならなかったはずだ。

MI5のスナイパーにしても、寝返った理由がいまいちわからない。
武器庫から借りたライフルで、CIAを襲ったらどうなるのかわからなかったのか。
疑われるのは自分である、ということは、素人の私にも分かる。
もう少し汎用性のある銃(ハンドガン)であれば、疑われにくくなったはずなのに。

そういうシナリオの甘さが、映画としての完結性を損なっている。

やっぱり良い映画って難しいですね。


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