外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(29)~エラズーからワンに移動~

2024-09-20 17:41:49 | トルコ

 

 

今回は、トルコ旅行でエラズーに2泊した後、ワンにバスで移動した時の話。

 

 

ネットで拾ったアンカラ・ワン間の鉄道路線・空港の地図

私はアンカラ(Ankara)からシワス(Sivas)、エラズー(Elazığ)、そしてワン(Van)の手前のタトワン(Tatvan)までは鉄道路線に沿って西から東に移動したことになる。バスだけど。

 

 

この日も朝8時に起きて、荷物をまとめてから朝食に行った。寝たのは3時だったのに早起きして、我ながらエライ。(早く寝ればいいものを)

 

 

この日は朝食にトマトとキュウリがあった。ビタミン補給

 

 

朝食後、SNSの更新などしてから、11時ギリギリにチェックアウトした。バスの出発時刻の13時まで時間があるので、スーツケースをホテルに預けて、少しエラズー市内を散策することにした。

 

 

通りがかりのモスクを覗いてから、

 

 

屋根付き市場( Kapalı Çarşı)を観光

 

 

エラズーの屋根付き市場は茶色い木造の建物で、街の規模の割にはまあまあ広い。1928年創設だが、近年修復が行われたそうで、まだ真新しく見えた。中途半端な時間帯なので買い物客は少なかったが、観光客も地元の人も来るとのことだ。

 

 

キュネフェ(アラビア語では「クナーファ」)などのお菓子の原料の、小麦粉と水で作られた極細麺「カダユフ」の専門店がいくつか並んでいた。

一見シロップなしのかき氷。ふう~っと息を吹きかけたい衝動をこらえた。大人ですから…

 

 

孫の手があった。これを買っておくと、〇十肩になった時便利ですよ、奥さん

 

 

いい感じに鄙びた郷土菓子を売る店 

 

 

羊の頭部や足、内臓専門店はちょっとコワい

 

 

スパイス屋さん

中東のスパイス屋さんはどこも魅力的で、キラキラ輝いて見えるのはなぜなのか。

 

 

巣箱入り蜂蜜も魅力的だが、重いからなかなか買えない。

 

 

ハルプット産のディベック・コーヒーのミックスがあったので、それだけ買って出る。

 

 

エラズーの屋根付き市場のPR動画

 

 

市場の脇には、サモワールや鍋などが並ぶ金物屋街があった。

 

 

ヤカンや鍋類の修理もしてくれるらしい。取っ手を取り替えたりも可能。

 

 

金物屋街を抜けて、別の商店街に入ったら、サイドカー付きのバイクに乗っている、仲の良さそうなおじいさんたちがいた。

かっこいい2人組ね、うっとり…

 

 

せっけん屋さん

 

 

トルコのもんぺ(にしか見えない)発見

 

 

クルドの男性の民族衣装、マネキンがびみょ~

 

 

このマネキンで売れるのか

 

 

6月末だったが、昼間はもうけっこう暑くて、歩き回っているうちに疲労困憊したので(すぐ疲れる)、ゆっくり座れてWi-Fiが使えそうなカフェを探したのだが、そんなものはなかった。まあ、エラズーですしね…

 

 

私が歩いていた商店街には、そもそもチャイハネ(チャイエヴィ、喫茶店)自体があまりなかった。座って休憩できればどこでもいいやという気分になり、やっと見つけたおじさん・おじいさん御用達の喫茶店に入ることにした。

 

 

店内はけっこう広くて静か

 

 

こんな木の椅子があったりする

 

 

店の外のテーブルで談笑しているおじいさんたちを眺めながら飲むチャイは格別だねえ~

 

 

私はなぜこんなに仲良く談笑しているおじさん・おじいさんを眺めるのが好きなのか。もしや前世はおじさんだったんじゃないのか。あるいは、おじさんかおじいさんに可愛がられていた猫か。

 

 

チャイ一杯でゆっくりさせてもらってから、ホテルに戻って荷物を引き取り、ドルムシュでオトガル(バスターミナル)に行った。12時過ぎには着いたので、バス乗り場の近くのベンチで待っていたら、猫がやって来た。

 

 

「この人はエサをくれそうだにゃ~」

私が猫おばさんだということが、どうしてわかったのかしら?(カバンにエサの匂いが染みついてるからや)

 

 

私のカリカリを食べ終えたら、別のベンチの脇で待機

 

 

上を見上げたらすずめさんも待機中だった。誰かがこぼした食べ物狙いか

 

 

13時近くにバスがやって来た。

 

 

ワン行きのバスもベンツ製で快適だった。定時に出発して、ほぼ予定通りに着いた。他の乗客はトルコ人やクルド人ばかりだったが、乗車中みんな寝たり静かにスマホでゲームをしたりしていて、休憩時間の後もちゃんと時間通りにバスに戻って、マナーが良かった。

 

 

エラズーの街から出て少ししたら停車し、ジャンダルマ(憲兵)が乗り込んできて、乗客の身分証を確認して回った。アンカラ以降、これまでの検問では、外国人の私はスルーされていたが、今回はパスポートをチェックされた。トルコ南東部に向かう便は、チェックが厳しめなのかもしれない。

 

 

検問は手早く行われる

 

 

ふと窓の外を見たら、小高い丘の上に軍事基地があって、監視台がそびえていた。トルコには基地が多いのだ。

 

 

トルコ軍は国内南東部のシリア・イラク・イラン国境に近い山岳地帯などでも、国境を越えたイラクやシリアの北部でも、PKK(クルディスタン労働者党)などに対する「対テロ作戦」を常にやっていて、テレビでも「テロリストを〇人無効化した(殺害した)」とか、「テロリストの攻撃により兵士〇人が殉職した」というようなニュースをしょっちゅう見かける。そういう意味で、トルコは完全に平時にある国とは言えないと思う。それ以外の地域はごく平穏で、普通の日常生活が営まれているので、一見分かりにくいが。

 

 

なお、トルコ軍とPKK及びPKKに繋がる武装組織との戦いにおける2015年以降2024年7月21日までの死者数は、ウィキペディア(英語版)によると、NPOの「国際危機グループ」(ICG)調べでトルコ側が1488人、PKK側が4695人(民間人の犠牲は含まず)。トルコ国防省は自国軍側の死者数をあえて発表せず(発表すると政治的にマズいことになるからかな)、PKK側の死者は捕虜や投降者を含めて約4万人としているが、これはいかにも盛った数字であり、国際的に信頼度の高いICGの発表の方が実際の数値に近いのは明らかだ。

 

閑話休題…

 

13時から20時半まで、約7時間半のバスの旅だったが、その間に飲み物が3回サービスされた。お菓子はなし。昔はお菓子も必ず出たと思うんだが。バス会社によっては、今もお菓子サービスがあるかもしれない。まあ、なくてもいいけど。

 

 

チャイ(紅茶)は珍しくリプトンじゃなかった

 

 

途中で食事休憩が30分あったので、ドライブインでケバブサンドを買って食べた。

 

 

売店の入り口で待機していた黒猫さん

 

 

ケバブのブース

 

 

食べかけで失礼…新鮮なレタスや玉ねぎ入りで美味しかった

 

 

ケバブ担当のおじさんがサンドイッチを渡してくれる時、「ドイツ語は話せるか?」とドイツ語で聞いてきた。(話せません)トルコでこれを聞かれたのは10年ぶりくらいだったので、びっくりした。ドイツ出稼ぎ組の名残か。

 

 

休憩後、時間通りに再出発。車窓からは羊や牛の群れ、小麦の麦わらを四角に固めたものが点々と広がる野原、かろうじて緑に覆われている岩山などが見えた。私は睡眠不足だったので、だいたい寝て過ごし、目が覚めたら外の風景をぼんやり眺めていた。なにしろ、今回トルコではSIMカードを買い損ねて、スマホ(ネット)が使えないから暇だったのだ。トルコのバスにWi-Fiとかないしな。

 

 

 

 

 

 

ワンに着いた時にはすっかり夜だった。

 

 

オトガルでバス会社が運行するセルビス(オトガル・市内の間を走るミニバス)に乗り換え、親切そうな運転手さんに安ホテルがあるところで降ろしてほしいと頼んだら、市内中心部のメインストリートである共和国通りで降ろしてくれ、そこで同時に降りた若者に、私をいい安ホテルに案内するように言ってくれた。でもその若者は、「この辺にはたくさんホテルがあるよ」と言いつつ、めんどくさそうにしていたので(そりゃそうだよな)、自力で探すことにして、スーツケースを引きずって歩き出した。

 

 

歩き出してから、わりとすぐ、大通りから脇道に入った突き当りに、ホテルの看板が見えたので、そこに行ってみた。「Nisa Otel」というところだ。

 

 

比較的大きなホテルで、高そうだと思ったが、フロントで値段を聞いたら1泊130リラと安かった。(現在のレートで600円しないが、インフレで今は何倍にも値上がりしているはず)トイレとシャワー、Wi-Fi、テレビ、冷蔵庫、朝食付き。エアコンがなかったが、ワンは夏でもエアコンなしで過ごせる気温だというので、ここに決めた。一件目のホテルで決まってラッキーだった。

 

 

他に空きがないということで、初日は3人部屋だった

 

 

安宿なのにシャワー室がある~

 

 

フロントからエレベーターに乗った時、フレンドリーなイラン人女性に話しかけられた。よく聞き取れなかったが(たぶんアゼリー語)、彼女の兄弟の奥さんが日本人だと言っていた気がする…フロントにはイラン国旗があるし、エレベーター脇にはペルシア語で注意書きがある。イラン人の客が多いのだろう。

 

 

当時は推測することしか出来なかったペルシア語の張り紙。2年間じみじみ勉強したから今は大体わかる。

「チェックアウトは昼の11時まで、そうでない場合は部屋代をいただくことになります」

 

 

部屋で少し休憩してから、夕食とビールを買いに出かけたら、街中もペルシア語表記だらけで、イラン人観光客らしき人々がが大勢歩いていた。ワンはイラン国境に最も近いトルコの観光地なので、イランマネーで潤っていそうだ。長いコロナのロックダウンや規制から解放されて、喜び勇んでトルコに繰り出すイラン人は多いと思われた。イラン人はビザいらないしね。

 

 

まず酒屋を探し、酒屋やパブが何軒か並んでいる通りにある、内装がキラキラした感じの店で缶ビールを買う。ワンは保守的な街なので、黒い袋に入れてくれた。店内にはイラン人男性が数人いて、楽しそうに酒を買っていた。イランではアルコール類が禁止だから、トルコに来たらここぞとばかりに酒を飲むのだろう。そう思うと、彼らに親近感と連帯感を抱かずにはいられない。

 

 

夕食用には、炭火焼の店でチキンのサンドイッチを買った。レバーがメインの店だが、他にも色々あった。

 

 

安くても炭火焼

 

 

 

ここにもペルシア語表記

 

 

ホテルに戻ってビールを飲み、サンドイッチを食べた。昼も夜もサンドイッチで、ビタミンが足りないな…

 

 

値段と量とアルコール度について熟考し、厳選したビール2缶

 

 

グーグルで「Bremen 1827」について調べたら、AIさんが以下の情報をくれた:

~Bremen 1827は、トルコのAnadolu Efes(*通称エフェス)が製造するビールです。アルマン(*ドイツの)純粋法律に準拠して作られており、アルコール度数は4.5%と7.0%の2種類があります。2023年にはMonde Selectionの優秀品質銀賞を受賞しています。~

 

最近グーグル検索すると、AIが色々教えてくれるけど、試験運用中だけあって、ちょっと微妙なとこあるよね…ドイツの「純粋法律」ってなんやねんと思ったら、ドイツで16世紀に制定され、未だに有効な「ビール純粋令」のことらしい。

 

 

食後、ビールを飲みながらドライブインで買った日刊紙「Yeni Yaşam」(=新しい生活)を読んだ。トルコ語でクルド側からの視点に基づく記事が読める貴重な新聞で、読むところが多い。クルド人多数居住地域である南東部(いわゆる「トルコのクルディスタン」または「北クルディスタン」)以外ではなかなか見かけないので、ワンでは出来るだけ毎日読みたい。

 

 

ワンには3泊する予定。翌日はワン猫を見に行くことに決めていた。がんばって「ワン猫の家」に辿り着かなくては…

 

 

(続く)

 

 

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