フィレンツェ滞在3日目は、友達と会ってランチしたり、カッシーネ公園を散歩したりして過ごした。
朝、仕事に出かける友人と一緒に家を出て、老舗のバールでカプチーノを飲んだ。バリスタのおじ様と常連客の女性の会話が、テンポが速くて小気味いい。これぞイタリアのバール、という感じだ。でもなかなか耳がついていかない・・・
美しいカプチーノ。友人におごってもらった。朝食にフルーツも出してもらったし、甘えっぱなしだ。
ここのバリスタのおじ様は私がフィレンツェの後に旅する予定の南部バジリカータ州の出身だから、現地情報をもらえるかもしれないということで、友人がわざわざ連れてきてくれたのだが、彼は特に地元の観光情報には詳しくないようだった。まあ、そんなものだろう。
仕事に行く友人と別れて、いったん家に戻ってパソコンで作業し、午後の早い時間にまた出かけて、ウクライナ人の友達と会った。彼女とはフィレンツェに滞在していた当時、移民用のイタリア語の無料講習会(EUだかトスカーナ州だかが資金提供)で出会ったので、もう15年くらいの付き合いになる。彼女はその後フィレンツェの男性と結婚して、こちらで根を下ろして生活している。
レプッブリカ広場のフェルトリネッリ書店で待ち合わせた。彼女は私よりもけっこう年上なのだが、久しぶりに会ってみたら、以前より痩せて、若返った印象だった。元気そうに見えたが、本人によると体調が悪くて、肉もパスタも断っているらしい。毎日何を食べるかが悩みの種だとのこと。
彼女が行ったことがないというので、前日も行ったメルカート・チェントラーレ(中央市場)付近のピザ・フォカッチャ屋さん「BONDI」でランチをとることにした。何にしようか2人で迷っていたら、地元の常連客らしき女性が、「フォカッチャサンドはフィレンツェの名物で、ここのケースに並んでいる具もフィレンツェらしいものばかりなのよ」と教えてくれた。それで、この日は初めてフォカッチャサンドを食べてみることにして(いつもはサルシッチャのピザ一択)、イチジクと生ハムを挟んだフォカッチャを選んだ。飲み物はキャンティーをグラスで頼んだ。3ユーロ。友人は「INZIMINO」(インジミーノ)のサンドを頼んだ。インジミーノは、ほうれん草かビエトラ(フダンソウ)とイカなどのトマト風味の炒め煮で、リグーリア料理ともトスカーナ料理とも言われる。ちなみに、ZIMINO(ジミーノ)は「濃厚なソース」という意味で、アラビア語の「太っている」という意味の形容詞「サミーン」(سمين)が語源だとイタリア語のレシピに書いてあったが、ホントかな?
甘いイチジクと塩辛い生ハムのフォカッチャサンド。イチジク、掘り出して別に食べたかった。
インジミーノのサンドイッチ。ネットから拝借した写真。友人が食べたものの写真は撮り損ねた。
「BONDI」のピザやフォカッチャの写真が見られるサイト。見てたら、また食べたくなってきた。
https://madtrip.co/gallery/67/10-panini-da-provare-a-firenze
イタリア各州の郷土料理を日本語で紹介するサイト
http://lacucinaregionale.com/regioni/toscana/menu
彼女のお姑さんに対する愚痴などを聞きながら、美味しく食べた。何人であろうと、国際結婚は色々大変なようだ。(他人事)
食後は、暑い中を20分くらい歩いてカッシーネ公園まで行き、さらに広い公園の中を延々と歩いた。途中で行き倒れるかと思ったが、湿度が低いので、木陰は涼しくて助かった。
カッシーネ公園
公園の中を通っている広い道路の脇の草地には、ところどころに少人数の黒人男性のグループが座っていた。イスラム式のお祈りをしている人もいたので、セネガル人かもしれない。公園の脇を流れているアルノ川ではユリカモメを見かけたが、パンを持っていなかったので餌付けできなかった。私としたことが、不覚・・・ヌートリアは見かけなかった。最近、ヌートリアはあまりいないらしい。
ヌートリアはこういうやつ。(ネットから拝借した写真)
夕方になり、買い物に行くという友達と別れてバスでチェントロに戻り、中国人の友達が経営している衣料品店に顔を出して、ひとしきりおしゃべりしてから帰った。フィレンツェにいる私の友達は、日本人と外国人が大半なのだ(そもそも数が少ないが)。イタリア人の友達もいることはいるが、今回は滞在日数が短くて会えなかった。
ドゥオーモの前を通ったら、観光客の列があった。
ネプチューンの噴水がなんだか涼し気にみえた。暑い日だったのだ。
サンタマリア・ヌオーヴァ病院。かつて酔っ払って意識を失って、救急車で運び込まれたところだ。その節はお世話になりました・・・
サンタ・クローチェ教会。この教会前の広場も、私にとっては鳩スポット。
スーパー「コナド」で安い切り落としのハムやチーズなどを買って帰り、簡単な夕食を取った。家の主の友人も途中から合流し、一緒にワインを飲みながらお喋りした。
適当な夕食だが、こういうのもけっこう好き。
この日はあまり写真を撮らなかった。フィレンツェはかつて5年暮らした街であり、友人宅に滞在して色々助けられ、外でも昔からの友達に会ってお喋りして過ごしているので、あまり「旅」という感じがせず、写真を撮りたいという気も起らない。ここは私にとって、旅と日常の間くらいの空間、私を優しく受け入れてくれる人達がいる懐かしい古巣。1人で行動する時のような旅の深さはないが、ここでゆっくり休憩して、この後の南部への旅のために体力と気力を養っておこうと思う。
(終わり)