みるくグラス・・・誰がいつ頃から言い始めたのかは定かでないけれど、つくづく良いネーミングだと感心してしまう。真っ白くてツルツルした中国の磁器の模造品を作るために、ガラスにtin oxideというものを混ぜるという技法が1880年代になってアメリカで開発されたのだ。何度が流行の波はあったものの、1970年代まで大量に作られていたらしい。
70歳代らしきアンティークショップのオーナーとお客さんが「お嫁に行く時はみんなミルクグラスを持って行ったわよね。こんなに値上がりするとは思わなかったから全部捨てちゃったわよ。」と話しているのをアメリカで聞いたことがある。アメリカではそんなありふれたものだったのね・・・
このかなり装飾的なふた付きのジャー、色がちょっと違うでしょ?右は真っ白、左は牛乳を半分水で薄めたような色。tin oxideの配合の仕方で違いが出てくるのだけど、人によっては左はミルクグラスでなくオペレッセントという人もいる。”オペ”とか”オパ”という言葉はオパールにも通じているそうで”不透明”という意味があるのでしょう。フランスではミルクグラスはOPALINEというようだ。
白くなくてもいちごミルクやコーヒーミルクというように、名前はミルクグラスでもブルー、ピンク、黄色、茶色やグリーンのものもあるのだ。黄味が強いクリーム色はカスタードグラス、グリーンのミルクグラスはJADEITE(Jade-iteはファイヤーキングのみの命名)、茶色いチョコレートグラスとさらなる名前で呼ばれている場合もあるけれど、どれもオイシソー。この写真で一番古いのは左端のもので1900年代。ブルーはFENTON、ピンクはJEANNETTEの物。
ポンズコールドクリームの入れ物は今はプラスチックになってしまったけれど、母が使っていたものはガラス製だった。今思えばあれが私が目にした初めてのミルクグラスだったのね。
*今日のブログは10年ほど前に書いたものを編集し直したものです*
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私ほどの年代でも小学生の頃にはセルロイドをいう言葉が日常にあったように思う。筆箱とかお裁縫箱やお人形さんなど。今の人にはピンポン玉と言ったらわかりやすいでしょうか。プラスチックとは違う柔らかい手触り、光沢。いいでしょう?
19世紀にはいろいろな新らしい物が発明されたけれど、セルロイドは歴史上初の人工樹脂。時代の最先端のもので、1856年にセルロイドという商品名になったらしい。やがて映画のフィルム、ビリヤードの玉、ボタン、お人形、象牙に似せた額縁やアクセサリーなどに使われるようになっていったのね。。発色が綺麗なので、アクセサリーやポタンに最適だったのでしょうね。左はアールデコの時代のハットピン、右はビクトリア時代のブローチ。
ピンポン玉のように薄くして加工することができるので、繊細なデザインのボタンも作れる。ところがセルロイドは良いことばかりでなく、燃えやすいとか耐久性が悪いとか、さらにはもっと安価なプラスチックが出てきたなんていうことで戦後間もなく製造されなくなってしまったようだ。ピンポン玉は最近まで使われていたけれどプラスチックに取って代わったようで、今セルロイドで作られている物はギターのピックだけということになっている。
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私たちが大好きなティンのシフターとかキャニスターなどはほとんどが1940年代に生産されたものだけど、もうちょっと古い時代に遡ってみましょうか。
そもそもティンは高価な銀製品の代用品という扱いでしかなかったようです。でもトールペイントで美しく着飾ったティンのコーヒーポットなどは19世紀の一般家庭の必需品だったようです。1880年代になって、ティンの板に直接印刷する技術が発明されて、美しいタイポグラフや彩りでデザインされた葉巻の缶や各種食料品の缶などがジェネラルストアの店頭に並ぶようになりました。パッケージとしての機能と、広告媒体としての機能を兼ねたこれらのものは、グラフィックとしてみてもとても興味深いものがあり、コレクターも多いのです。
この葉巻の缶は100年以上経っているものです。塗装されていない取手のワイヤーやふたのストッパーなどは黒光りしていて、とてもいい感じ。長い年月の間に手に擦られているうちに自然に出てきたツヤで、英語では”パティーナ”と言います。
さて、ここまで読んでくださった方はこのサビサビのシフターを見ても「きったなーぃ」とは思わないでしょう。(だといいな)1940年代の特徴的なグリーンの色、年代を証明するかのような広告文、現代にはないデザインは思わず手に取ってみたくなるでしょう。ではカントリーアンティークにおけるティンの魅力とは色とデザインだけなのでしょうか。
例えばこの農家の納屋のデザインのクリスマスツリーのオーナメントはどうでしょう。デザインのモチーフも色も大好きだけど、アンティークショップでは箱に入って売られていて、その箱から出した時にはちょっとがっかりしたものです。ペカペカしていて、素材とデザインのイメージがマッチしていないですよね。このペカペカした感じがなくなって、金属にまろみが出てきて、サビの一つでもあったらもっと味わい深いものであったでしょう。
上のグリーンのシフターは台所で長いこと働いてきて、穴があいてしまってからは流しの下の棚で隠居生活に入り、やがてサビが出てきたのでしょう。そのサビも今はすっかり個性と成っていて、堂々としているではないですか。カントリーアンティークにおけるティンの魅力とはそのサビサビにあると言い切ってしまおう。
*もう10年以上前、アメリカに住んでいたときにやっていたホームページで書いたものです。なので写真の商品はもう売れてしまってありません*
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今日はチョークアートでなくてチョークウェアのお話よ。白くて割れやすいあのチョーク。そんな素材で作られたちっちゃな物たちのお話。
美術の時間にデッサン用に白いビーナス像とか見た事はあるでしょう。要するに石膏のようなものを型に流し込んで作った物で、日本では漆喰人形というものが近いものかもしれない。アメリカでは19世紀頃から作られていけれど、このキューピーさんみたいに仕上がりはとても素朴。初期のものはシリアスなモチーフが多かったけれど、1930年代頃からはカーニバルの景品用に形も単純に、子供によろこばれそうなものが大量に作られたみたい。
私がアメリカに住みはじめた1980年代にはまだ色の塗られていない状態のチョークウェアに自分で色を塗って仕上げるというようなクラフトの教室があちこちにあったものです。この写真は上のキューピーさんの底の部分。「1925年6月25日サンフランシスコから」と書いてあるので当時もそんなワークショップのようなものがあったのでしょう。
これは小さなランプ。陶器と違ってもろいので襟の先などがぼろぼろになってしまっている。チョークウェアはいまでもデパートでも売られているけれど「味」からいったら断然こっちでしょ?。
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フレンチブルドッグ イラスト
おなじみキャラクターのスヌーピー、ミッキマウスやクッキーモンスターばかりでなくテディベア、ゾウサんや子犬などのランプをアメリカではキャラクターランプと呼んでいるのです。
第二次世界大戦が終わって多くの若い兵隊さんたちが戻って来て家庭を作る様になります。専業主婦に戻った若いお母さん達は子供部屋にかわいいランプを飾りたいと思ったのね。Morton PotteryやMcCOY(マッコイ)も土台になるフィギュアを作るようになったらしいですよ。
流行になったのは1940年代の後半から1950年代まで。ベビーブームが終わると自然に需要もなくなってしまったのね。
1998年の"Collectibles"というフリーマーケットの情報誌の記事から。この写真のようにオリジナルのランプシェードが付いているものはなかなか手に入らない様です。もし見つけたらラッキーね。
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