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エルンスト・ヘフリガーの逝去に寄せて

2007年04月11日 | その他
スイスの名歌手、エルンスト・ヘフリガーが去る3月17日に逝去した。87歳だという。ワルターやフルトヴェングラーと言った歴史的大音楽家達との競演歴も多い文字通りの巨匠である。新聞での訃報を知らず、本日草津国際アカデミーのHPで遅ればせながらそのことを知った。1966年の第2回ベルリン・ドイツオペラでのパミーノが日本デビューだったと思う。その後1969年には、カール・リヒターと共に来日して歴史的なエヴァンゲリストを歌い、以降幾度も来日してファンを喜ばせた巨匠である。EMIに小林道夫の伴奏でシューベルトやシューマンを録音したり、ドイツ語で日本歌曲を録音したりと、何かと日本とは関連が深かった。最近の表舞台としては、数年前のメトロポリタン歌劇場来日公演の「グレの歌」で、語り役にクレジットされていたのが少々意外であった。そうした表舞台がある一方、晩年は毎夏の草津音楽アカデミーに来日し、後進の指導にあたる傍ら、時にはリートや朗読で舞台に上っていた。草津は毎夏訪ずれているので、そのうちにと思っていたが、ついぞ再会を果たせなかったのが残念である。私が実演に接したのは、30年以上前の日生劇場の舞台、その時はブラームスの「マゲローネのロマンス」であった。そして10年くらい前、カザルスホールでの「冬の旅」。どちらも全身全霊を込めた、万年青年のような歌い振りで、心を鷲づかみにされたことを思い出す。本当に「歌」の真髄をついた感動的な歌唱であった。最近NHKのテレビで、日本歌曲を歌うヘフリガーが放映されたのを偶然にも見た。まさに心の歌がそこにあった。ご冥福をお祈りする。

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