2003年以来、日本の管弦楽曲を演奏し続けているニッポニカの第12回の定期演奏会を聞いた。指揮は音楽監督の本名徹次。今回は豊富な内容だが、その一つは、昨年亡くなった伊福部昭のラウダ・コンチェルト(オケとマリンバの為の協奏曲)であった。初演の山田和男+安部圭子による演奏が語り草になっているが、(CDもある)今回の独奏はぐっと若い大茂絵里子。小柄な安部の熱演基調に比べ、大茂の演奏は、大柄な肢体を思う存分使った余裕さえ感じさせるもので、とりわけしなやかな音色や間の変化に見るものがあり、明らかに初演からの進化を感じさせる解釈で、曲の魅力を余すところなく表現した名演であった。続くドヴォルザークのチェロ協奏曲は、本名がミュージックアドヴァイザーを勤めるヴェトナム国立交響楽団から主席奏者のンゴ・ホァン・クァンを独奏に迎えたものであった。優しさに満ちた独奏は、極めて流れの良いものであったが、ドヴォルザークの持ち味とはいささか異質に響いた。それにしても、たった創立4年の歴史にもかかわらず、東京にある数あるオーケストラのなかでも、はっきりした独自性を打ち出し、オリジナリティに溢れた魅力的なプログラミングを毎回提供してくれるこのアマチュア・オーケストラには敬意を表すると同時に、今後の活躍を期待したい。プログラムの最後に、アンコールのように演奏されたのは、ベトナム民謡の編曲である「リィ・ホァイ・ナム」という弦楽合奏の小曲であったが、その優しさに満ちたメロディが、どこかチェロ独奏のリリシズムと共通するものであったことは興味深い。
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