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東響第66回川崎定期(7月15日)

2018年07月16日 | コンサート
音楽監督のジョナサン・ノットが満を持して取り上げたエンガーの大作、オラトリオ「ゲロンティアスの夢」である。カトリックの生死観を美しく描いた一大絵巻物といった感のある傑作と感じた。マクシミリアン・シュミット、サーシャ・クック、クリストファー・モルトマンの歌手陣が実に充実した歌唱を披露し、全員暗譜の東響コーラスも繊細かつ表現力豊かな驚異的アンサンブルでドラマを目一杯盛り上げた。ノットの作り出す機敏でしなやかな音楽は、一瞬の弛緩もなく魂の救済を描き尽くした。ソリストの選択といい、全体の統率力といい、ノットなくしては決して成し遂げられなかった舞台だったと言えよう。そして何より、今まで目もくれていなかったこの作品の素晴らしさを教えてくれたことに感謝したい。

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