チキチキ読書日記

無駄に読み散らかした本の履歴です。

流星ワゴン 重松清 講談社文庫

2006年03月19日 14時30分18秒 | 文学・小説
運命の分かれ道。
それは人生のいたるところに存在する。
たまたま一本早い電車に乗ったために事故にあった。あるいは合わずに済んだ。
人生はその一瞬一瞬が運命の分かれ道である。

主人公は家庭が崩壊し、会社をリストラされタナトス(死の誘惑)に魅入られそうになっている38歳の男。

そこへ一台のワゴンが通りかかり、車内へ誘われる。
運転するのは同じ38歳の男、それから8歳の少年。
彼らは一瞬の事故で命を奪われた親子であった。

現世に未練を残しているために成仏できないらしい。
で、死を意識しながらこの世に未練を残している人をワゴンに乗せて、現実がまだ未来だった過去に送り届けるというようなことをしている。

あの時ああすればよかった、こういえば良かった。
主人公は後悔の連続である。

しかし、バックトゥーザフューチャーのように、過去に行って行動を改めてみても未来は変わらなかった。

主人公は受け入れる。
肯定することを知る。
浮気をする妻に対しても、引きこもり暴れる息子に対しても。
現実を変える力を持つのは自分の意志である。

たまたま僕の前にオデッセイが現れて、過去に帰っても「今」を変えることは出来ない。できるのは認識だけである。
人間に後悔はつきものである。

しかし、
受け入れるものは受け入れて、前に進むしかないのだ。




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