チキチキ読書日記

無駄に読み散らかした本の履歴です。

ネット社会の未来像

2006年02月15日 12時39分47秒 | 哲学・思想
ネット配信されている、ジャーナリストの神保哲生と宮台真司による番組○激トークオンデマンドをネット社会を論じた回を再構成したものである。
東浩紀や西垣通などネット社会のソフト面、ハード面それぞれのエキスパートを迎えての対論である。
東は犯罪が子供が被害者になる事件が監視社会を後押しすると主張し、同時に子供の安全にたいする言説がインフレを起こしているという。
去年起こった奈良の少女暴行殺人事件は被害者はGPS付きの携帯を所有していた。にもかかわらず犯罪にまきこまれ、そして殺害された。
このような事実から導き出されるのは、GPSつき携帯の無力さであり、子供に携帯させる各種安全グッズの限界であるはずだ。
しかし、そこに触れているメディアは皆無である。それどころか一様にさらなるセキュリティの強化をもとめて監視カメラを通学路に設置せよなどという意見もまことしやかにささやかれだしている。
東はそこに巨大産業になったセキュリティ業界の思惑を読み取る。
もし子供の身の危険が本当に問題視されるならば、家庭や学校に監視の目を行き届かせるべきである。
見知らぬ男に暴行されたり殺害されたりするよりずっと多くの割合で、それらの場所で子供たちが犠牲になっているのだ。
しかし、そういう風潮には全くならない。
事件と世論がまったく結びついていないのだ。
「安心」や「安全」という言葉が呪文のように機能し、複雑な社会問題を見ないですむよに安直な技術に飛びつく。
そのような魔術的新興が世の中を覆っている。


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