Southride(サウスライド)

マウンテンバイクとダックス125

サウスライド

2011年5月SDA王滝レポート その4(当日)

2011年06月04日 | 王滝


ついに林道が始まりました。

斜度はきつくもないけど、緩くもないといったところでしょうか。

でもギヤは早くもフロントがミドル、リヤはローの組み合わせになってしまいます。

ここから13km地点までずっと登りです・・・。

この時点ですっかり上位入賞は無理だと悟りました。 いやもう足が回らない・・・

皆さん速い。登りで次々に抜かれて行きます。

路面には小川ができて、石が水に洗われてます。

ダブルトラックなので、轍のどちらか片方が比較的路面が良く、

もう一方は川といった具合です。

ハードテールの選手が右側から抜いて行きます。

やっぱりハードテールは登りに強いんだな・・・と見送ると、次はフルサスい抜かれます。

マシンの差じゃなくて、自分が遅いんですね・・・。



雨は本降りのままです。

ケツの筋肉が痛い・・・。でも々とペダルを漕いで行きます。

しんどいなあ・・・出なきゃよかったかもなあ・・・。 苦しい・・・。

ラミネートした地図を見ます。端っの子供を見て、思わず微笑みます。

その横には自分で書いた言葉。

「笑って、前へ」

前を向きます。書いておかなきゃ、しんどくて俯いたまんまで走りそうです。

雨が顔を流れていきます。


何人に抜かれたんでしょうか。

100位くらいまで落ちたのかも? わかりません。

この頃になると、やっと周りと同じ様なペースで走れる様になってきました。

最初のピーク。 やった、下り坂だ・・・。

フロントギアをアウターに入れて漕ぎます。

前の選手たちにみるみる追い付きます。

こっちはいつもみたいに漕いでるだけなのに。・・・もしかしたらワタクシ下り速いんでは?

いやこれはフルサスの恩恵でしょう(笑)


アウターでガンガン漕ぎます。

見える範囲の選手は全て抜いて、スタート地点に戻って来ました。

ここで約19km。 スタート地点を左に折れて再び舗装路の登りに入ります。

しばらく登っているうちに、さっき抜いた人全員に抜かれました。・・・ああ。

やがて道は林道に変わり、ここから5kmの坂。

雨は激しさを増して、道が完全に川になっている場所もあります。

インナー×ローでゆっくりゆっくり登っていきます。

すぐにでも足を着いて歩いてしまいたい。 しんどくてしんどくて堪らない。

でも我慢します。

ラインを間違えて石に乗りあげます。 その度にふらついて体力が奪われます。

後ろから選手がやってくる音がします。 チェーンのすれる音、ギヤチェンジの音。

ゆっくりとじわじわと抜かれます。 何人にも抜かれていきます。

また後ろから誰か来ている音がします。チェーンが擦れる音です。

振り返るけど、誰もいません・・・。

雨の音、チェーンの音、自分の息遣い、そして幻聴・・・。

それが、聞こえる音の全てです。

 

黄色いパイロンが見えました。

100kmとの合流地点に辿り着きました。

しばらく行くと、テントがあってパワーバーを配ってくれました。

走りながら受け取ります。

「袋やぶってありますからっ」と係の方。

端っこをかじると、意外と美味しいです。 バナナフレーバー。

でも固形物は飲み込むのがつらいので、後で食べようと思いトライバッグにしまいます。

その時、岩で自転車が跳ねて、トライバッグの中のフラスクを落としそうになりました。

フラスクの中には、後で補給しようと思ってるゼリーを詰めてあるから落としたら大変です。

チェックポイントはまだ先・・・。たしか27km地点だったような・・・。

延々と坂を登ります。 そのうち、太ももに嫌な感覚が襲ってきました。

やばい、攣りそうです。

しかも両足一緒にきてしまいました・・・。 

太ももの筋肉が締めあげられる様な激痛。多少平坦なところでゼリーを補給します。

足はまわしつつ、太ももの様子をみていたら、やがて攣りは収まってきました。

再び坂を下ります。 振動や時折来る岩の突き上げで手のひらがしびれてます。

手のひらに力が入り過ぎです。リラックス、リラックス。

 

やがて、テントが見えてきました。

チェックポイントです!

42kmでは唯一のチェックポイント。 ここを越えれば足切りはありません。

あとはゴールまで走ればOK。 気持ちが楽になります。 嬉しい。

ゲートをくぐります。 かすかに「ピッ」という音がします。 いま、何時間が経過したんでしょう?

腕時計を見ます。 2時間19分。 ああ、そんなに時間が掛かってしまったんだ・・・。

目標は3時間切り。 あわよくば2時間台中盤なんて、レース前に思ったこともあったけど、

現実は厳しいです。

まだ27km。

42kmは実質47kmくらいだから、残り20km程残して、この時間・・・。

・・・苦しい。

 

ゲートの先の直角コーナーの水路は、蓋が無いから要注意だと聞いていたので、

スピードを落として慎重に渡ります。

リム打ちパンクは絶対に避けないと。

河原に出ました。 目の前には土管に土をかぶせた簡易の橋があります。

橋を渡りながら、前を見ます。 ここが噂の勾配16%・・・。

絶対に無理! とても漕いでは登れません。 足が完全に終わってしまいます。

潔く自転車を降り、押し始めます。

周りの選手もみんな押してます。 一人頑張って漕いで登っている選手がいましたが、

やがてふらつき、足を着いてました。

土砂降りのなか、黙々と自転車を押します。 俯いてるから視界に入るのは黄土色の瓦礫の道だけ。

少し勾配が緩んだ所で自転車に跨ります。 ビンディングをはめて漕ぎます。

フロントが浮いてこけそうになります。 ギヤが軽すぎます。

一度降りて、手でペダルを回し、ギヤを変えます。 体が重い。

 

再びまたいで漕ぎ始めます。 ゆっくりゆっくり登り、曲がっても曲がっても坂が続きます。

この頃には周りはずっと同じメンバーで、抜いたり抜かれたりという具合。

後半に入り、斜度が緩やかなエリアに入ります。

下りの道で、フラスクを取り出し、ゼリーを飲み込みます。

水たまりが凄い。周りはクマザサかな。 もう一つのフラスクも飲み干します。

スピードが出せそうなエリアだったけど、補給を優先してゆっくり走りました。

 

前を見ると、すぐ先にパンクしている選手。

その数メートル先にもパンク修理中の選手。

そしてその先にも、またその先にも・・・。

全部で6~7人の選手が一斉にパンクしていました。

きっと、水たまりの中に鋭利な岩か何かが潜んでいたんでしょう。

たまたまゆっくり走っていたから助かったのかもしれません。

気合いを入れなおし、足に力を入れます。

やがて再び急な坂が出てきました。これもキツイ。素直に自転車から降ります。

再び坂を押し上げて・・・。

これで2回目の押しです。 

押さずに走りきるなんて、今の自分には無理です。

足りないのは筋力、基礎体力、根性?

自転車に跨ります。 あと10km程登れば、下りになるはず・・・。

それがゴールまで続く長い下りです。

 

雨は土砂降りに近くなってきました。

道は川になり、平坦な所には深い巨大な水たまりができています。

路面が柔らかい場所は、数十台のMTBの轍でぐちゃぐちゃになり、泥沼の様相です。

泥にタイヤが深く埋まり、下りでも漕がないと止まってしまう程。

だんだん空が近くなります。頂上が近づいてきます。

あそこまで行けば下りが始まるはずだと思い、カーブを回り込むとまだ坂が続いてます。

この繰り返し。



39km地点過ぎから下りが始まるはず。

今の距離を知りたくてサイクルコンピュータを見るけど、曇って距離が見えません。

サングラスを拭いても拭いても、ぼやけて見えない・・・。

何かおかしい・・・。

サングラスを外して周りの景色を見て、やっと気づきました。

左目のコンタクトがずれてます。 何か見にくいと思ってたらそれでなのか・・・。

眼の奥でコンタクトレンズがゴロゴロしてるけど、もういいや。

視力が悪い右目だけ入ってりゃ前は見えます。

どうせ顔を流れる雨で、視界は常にぼやけてるんだから、このまま行こう。

 

その5に続く・・・

 

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