まさおレポート

米国通信品位法230条の行方

通信品位法230条、ネット企業の成長下支え 米公聴会: 日本経済新聞

現下の米国でのホットイシューは次のバトルだ。

フェイスブック、グーグル、ツイッターのトップをオンラインで呼びだし 発信されている情報の内容について、あまりに無責任ではないか。米国議会

自分勝手に検閲のような関与をするな。何がフェイクニュースなのか判断すること難しい。GAFAの反論

トランプ大統領が一転して武漢肺炎救済法案に署名する。出した交換条件には次の3点がある。

1、国民への支給金600ドルを2000ドル(子供は600ドル)にする。
2、通信品位法230条の廃止を今後検討すること。
3、今回の選挙には深刻な不正があったことに焦点をあてること。

いずれももっともなことだ。私には「通信品位法230条の廃止を今後検討すること」が目をひいた。本来は民主党の「悪い投稿にもっと責任を持って関与しろ」との主張でフェイクニュースの拡散などの悪質かつ選挙等にも影響を与えうる投稿はもっと制限すべきだでとの主張だ。

連邦司法省は同条を削除の方向ではなく免責の範囲を制限してインターネットを開かれた安全な場所として維持すべきとする報告書を2020 年 6 月 17 日に公表した。しかしこれではトランプはあきらかに不満だったのだろう。「2、通信品位法230条の廃止を今後検討すること。」と廃止を要求している。

連邦司法省報告書による勧告の抜粋は以下の通りだ。
(1)免責の維持と違法コンテンツの削除等のインセンティブの付与
 ①連邦刑法に違反する第三者のコンテンツを故意に促進する等のプラットフォームに免責を認めるべきではない。ただし、偶然に、又は過失により違法な行為を促進する場合には、プラットフォームは免責を失わないとし、主観的要件の有無により責任を区別する。

米国通信品位法230条 プロバイダ免責(媒介者免責)の原文は以下の通りだ。

Section 230  "No provider or user of an interactive computer service shall be treated as the publisher or speaker of any information provided by another information content provider" (47 U.S.C. § 230). 

同上 google翻訳1996年の通信品位法(CDA)第230条「インタラクティブコンピュータサービスの提供者またはユーザーは、他の情報コンテンツ提供者によって提供される情報の発行者または話者として扱われてはならない」

これだけ読んでもよくわからないが1996 年当時のオンライン産業を保護し、オンライン・プラットフォーム双方向コンピュータ・サービスに対し児童に有害なコンテンツを削除するインセンティブを与えるために制定された。

25年後になぜそれが免責を与えるという一見反対の立場を守るような法律に変貌したのか。こうした法案を今後検討するうえでの留意点として非常に興味あるところで、立法側の責任を問われるべきだががそれはさておき、この法律の本来の目的はインターネット上での言論の自由を制限することだった。

 

1996 年通信品位法第 230 条の概要抜粋
・双方向コンピュータ・サービスのいかなる提供者又は利用者も、別の情報内容提供者が提供する情報の発行者(publisher)又は代弁者(speaker)として扱われない(同条 c 項(1))。

・双方向コンピュータ・サービスの提供者又は利用者は、わいせつな、…又は他の好ましくないと判断する…素材へのアクセス等を制限するために誠実に、かつ、任意に講じた措置につき、責任を問われない(同条 c 項(2)(A))。

 

メモ

「企業が投稿内容に手を加えたり、逆に放置したりしても法的責任を原則負わない(日経新聞「ネット表現の自由漂流、SNS3社トップ、公聴会で証言」2020年10月30日)」

日本や EUでは 被害を受けた人がプラットフォームに削除を依頼すれば、プラットフォームには対応する義務が生じ損害賠償の法的な責任を負う。しかし米国の通信品位法第230条では、こういった場合に放置しても、プラットフォームは何ら責任を問われない 。

グーグルに対して検索結果の削除を求める訴訟があまりないのは裁判上ほぼ確立している。

プラットフォームが、自分が問題だと判断した投稿を削除 法的な責任は問われない。これに対してトランプ大統領 ツイッターが自分の投稿に警告を付けたりしていることに2020年5月「大統領令」で規制しようとした。 大統領令に対し大手IT企業が出資するthe Center for Democracy and Technology (CDT)が無効の宣言を求めて訴訟を提起。

通信品位法230条 インターネット上の情報の自由を重視し,媒介者の自主的な取組を促進する原則 表現の自由が前提 「思想の自由市場」によって真実が判断される 米国独自の制度 原則を維持することが米国でも難しくなっている 。

通信品位法第230条の規定を解き放つことは膨大な訴訟を新たに生み出す可能性が高くコンテンツに対する調査、証拠としての保全等のニーズが、新たに発生することになる。デジタル・フォレンジックにも多大な投資が要求されるかもしれない。

デジタル・フォレンジックは、法科学の一分野で、主にコンピュータ犯罪に関連して、デジタルデバイスに記録された情報の回収と分析調査などを行うことを指す。コンピューター犯罪以外の犯罪捜査や違法行為の調査、法執行機関ではない民間企業が不正調査のため消去データの復元を試みる場合などを指しても使われる。 by wiki

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「日常の風景・ニュース」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事