クスコの山中に咲いていた花の赤がアンデスの色だといつの頃からか頭に定着している。
赤といえば無機的すぎるので朱あるいは茜がふさわしいかもしれない。
朱は硫黄と水銀から人工的に作られバーミリオンとも呼ばれるが金属的な響きをもつ。
茜は夕日の真っ赤な空をさす。やはり茜のほうがふさわしい。
(日本で似た花を探すとノウゼンカズラが思い浮かぶ)
黒い岩の間に咲く茜色の花、日がアンデスの山並みに隠れる前の燃える茜色、カフェの壁にかけられていた人形。
今思うといずれもこの茜色に惹かれて撮ったものに違いない。
茜色からインカの繁栄、生贄の牛の血を想起する、つまりエロス、タナトスを象徴する色なのだ。