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まさおレポート

「黒い瞳」は馬鹿な男の恋愛と人生を描く至上の名作か

映画「黒い瞳」は馬鹿な男の恋愛と人生を描く至上の名作だと思う。この話を原点にして(馬鹿な)男の恋愛を膨らませていけば人生の主要テーマの一つが完成しそうだ。

犬を連れた奥さん」チェーホフとロシア民謡「黒い瞳」を参考にニキータ・ミハルコフがイタリアに招かれて撮った作品で、主人公ロマーノをマルチェロ・マストロヤンニ、ロシアに置いてきたアンナをエレナ・ソフォーノワが演じる。 

建築を学ぶ貧乏学生ロマーノの妻エリザ(シルヴァーナ・マンガーノ)はイタリアの大銀行の一人娘、父の死にともないエリザは全財産を引き継ぐ。ロマーノは湯治に出かけアンナ(エレナ・ソフォーノワ)と知り合う。

「家のために愛のない男と結婚しました。でも彼にいつも貞節でした。あなたに逢うまでは。」とアンナ。

ロマーノはロシアでアンナに再会し「家に帰りすべて処理して戻ってくる。待っていてくれるね。ぼくは妻に話し、君は夫に打ち明ける。」

帰国すると妻は破産しており「ロマーノ、ロシアに好きな女性がいるの?」「いるものか」の会話。

7年後の船上。ロマーノは破産後に再び大金持ちになるが離婚し旅客船の食堂でウェイターを。ロマーノは客の男性に打ち明け話をする。「もうひとりの女性はどうした」「もちろんロシアには戻らなかったよ。8年もたった、犬も死んでいるだろう。人は忘れるものだ。そう思えば人生は静かで平安だ」

すると男性は「そうでない人もいる。わたしは子供の頃から妻を知っている。彼女は結婚したが不幸な結婚だった。7年前、モスクワで再会した。彼女は離婚し伯母と暮らしていた。わたしは彼女を愛したが、彼女は全然わたしを愛さなかった。7年の間に8回プロポースした。9回目に彼女は愛していません、でも貞節を尽くします、そう言ってうけいれてくれた。わたしは愛される魅力のない男だ。小心者だ。でもこの船が朽ち果てても、海が干上がっても、ふたりが築き上げたものは永遠に存在するのだ、この世のどこかに。彼女といて毎日が充足している。この思いは死ぬまで変わらない」

ロマーノは自問する「今死んだら何を思い出す。子供のときの母親の子守唄と、初夜のときのエリザの表情とロシアの霧だ。ほかになにも覚えていない」男は「妻にあってくれ。デッキで昼寝をしている。もう目が覚めたかも」。デッキでふりむいたのはアンナでそのまま映画は終わる。

そして追記。

この映画とは何の関係もないがバリで出会ったスペイン人を思いだす。その人生観がどことなく似ているのかもしれない。今見直してみると確かに馬鹿な男でくずだ。こんな男とは付き合ってもらいたくないというのが娘をもつ親の心情だ。

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