ストーリー
第2次世界大戦の終戦直後、ナチス親衛隊高官の父と母が去ったあと、
14歳の少女ローレが小さい妹弟と共に祖母に会うために困難な旅をする姿を描くヒューマンドラマ。旅の過程で、
ナチスの行ったユダヤ人虐殺の真実に動揺し、葛藤する加害者の子どもたちの繊細な心の動きが映し出される。
監督は、『15歳のダイアリー』のケイト・ショートランド。
ヒロインは、ベルリン国際映画祭シューティングスター2013に選出されたザスキア・ローゼンダール。
過酷な現実に直面し、さまざまな経験を経た少女の成長の物語に心を揺さぶられる。
感想
引き込まれました。
よく言われることだけれど、
「人は、生まれるところも、親も何も選べない」
14歳のローレは、ナチス高官の子としてうまれました。
それがどんな意味を持つかを知ることもなく、
敗戦となるまで、それなりに恵まれた環境で育っていました。
敗戦で、両親に置き去りにされ、祖母の家をめざすことになるのですが、その旅の途中で、
ナチスの凶行、それに伴う両親の事、現実を徐々に理解していくローレ。
旅を助けてくれる青年との出会い。
葛藤、怯え、繊細さ、危うさを言葉ではなく表情で魅せられました。
ラスト、祖母の家での彼女のどこに誰にむけてよいのか自分なのか?感情の爆発が、胸にぐっとくる。
「さよなら、アドルフ」
信じて疑うことすら知らなかった価値が壊れさった今、
ローレは、これからどのように生きて行くのだろう。
何を見つめ生きるのだろう。
誰が彼女を支えてくれるのだろう。
旅を助けてくれた青年のことも何もわからない。
めでたしで終わらないところに深みがありハリウッド映画とは違う良さがあった。
映像も美しい。
どろ~っとした沼地を踏みしめる足、ぬるっとした気持ちわるさが伝わるのに、そんなシーンでさえ美しかった。