まりはな屋

地方都市で、清貧生活  

ひとりっ子

2002年12月29日 21時28分00秒 | 日々雑感
先日の日記にも書いたとおり犬が死んでしまったので、とうとう残りは一頭になってしまった。

思えばおよそ13年間の間、ウチでは四頭の犬を飼っていたのだ。

犬も家族も若かったんだなぁ。

散歩なんて二時間がかりだったもんね。

医療費もわたしの数十倍。

物心ついたときから犬と暮らしているわたしだが、ハッキリと思い出すことが出来るのは

小学一年生くらいのときに父が山から拾ってきた『チビ』という犬からである。

拾われた時はすでに成犬で小さくもなかったのに、なぜかわたしは『チビ』と名付けた。

この犬はおとなしく頭が良く優しい目をした犬だったが、わずか数年で死んでしまった。

夜中になぜか両親とわたしだけが死に際に立ち会った。

ヨロヨロとどこかへ歩いて行こうとして力尽きたのを見て大泣きするわたしに

「面倒見てたわけじゃないのになんで泣くのよ」と随分クールなことを言う母だったが

「面倒見てなかったから泣くんだよ!」と答えたのを覚えている。

その前にわたしは一頭拾っていたので(太郎と名付けた)すでに二頭体制だったんだな。

で、太郎が死んだときは(その頃はフィラリアの予防を知らなかったのでみんな短命)

自分が拾ってきて可愛がっていただけに悲しみも深かった。

もう犬はいいや、と思っていた一週間後に父が知り合いから柴犬の雑種をもらってきた。

この犬が可愛いのなんのって。

コロコロしてるから『コロ』、安易だ。

それから五年くらいして母について来た子犬を飼うことになって、こいつが『カンタ』。

名付け親は母だが1月に拾ったので「北風小僧のカンタ」だそうだ。

こいつはもう暴れん坊で落ち着きがなくて言うこときかなくてちょっと馬鹿で茶色くって

散歩に連れて行くのが一番大変であったが、無邪気で可愛く大好きだった。

急に増えるのが翌年である。

年末、ちょうど今頃。

出かけた父が「クマ、こっちこい」と呼んだら来たからと拾ってきたのがそのまま『クマ』。

体中に草の実を付けて可哀想だったから拾った、と言い訳したが

その実を一個一個ハサミで切ったのはわたしである。

クマは雑種ながら毛足が長くスピッツみたいな顔をしていて白と茶色のブチ配分も可愛く

子供や女子高生にキャーキャー言われるほどだった。

本人も撫でられるのが好きで、誰彼なく撫でさせてはご満悦だった。

ぬいぐるみのような容姿と裏腹にずるがしこくワガママなところもあったクマだが

年を取ってからは大人しく、言うことを聞くいい子であった。

その二日後に姉に拾われてきたのが小さいわりにみっしりと重く

足がぶっとい、真っ白な子犬。

なぜか『パロ』と付けたのはわたしである。

幼犬と成犬の中間くらいだったクマに対して、『パロ』はハイハイし始め、というくらい。

「学校の中をフラフラしてたから思わず」連れて来た姉の気持ちも分かる。

こうして、四頭になったとき母は

「もう、みんな上向いて歩いて!」と怒った。

そりゃそうだ。みんな仕事や学校に行ってしまう。実際に面倒を見るのは母である。

しかし四頭もの犬を母ひとりで見られるわけもなくウチはいつでも犬を中心に回っていった。

今日は、誰が出かけて誰がいるから散歩は誰それ・・・といった具合。

家族全員で家を空けたこともないし。

さて、とうとう一頭になってしまったわけだが

この残ったパロという子は実は長生きするとは思っていなかった。

足が太かったので大きくなるとは思ったが想像以上に大きくなった。

しかし図体のわりに気弱で大人しく怖がり。

クマと違って知らない人が大嫌い。子供の声がすると動かなくなってしまう。

そんな性格の上に耳だれがひどく、何度か病院にかかっているのだが

薬をつけられるのを嫌がり小屋から出てこなくなってしまう。

無理に出すと耳を地面につけて絶対に見せない。だから完治しない。

こういう粘膜の弱い子は長生きできないだろうなと思っていたのだ。

しかし、もう16歳だ。良かったなぁと思う。

他の子の分も長生きして欲しいと思う。

何頭もいた頃は一頭ずつにあまり手をかけてやれなかったが

一頭になってしまった今は手のかけ放題である。

わたしは三人姉妹なのだが、ひとりっ子ってこんななのか~と思う。

羨ましいような、鬱陶しいような。

母に「一匹ってさびしいね」と言ったら

「柴の子犬飼いたいね!」

この人って・・・。







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